ギャルゲ世界の親友ポジションに転生したけど、こいつどのルートでも死ぬ運命なんだよね〜ゲームの知識を駆使して絶対に生き残ってみせます〜
コーラ
第1章 転生したら死亡フラグ立ちまくりの男でした
第1話 プロローグ
『カイン! お前なにやってんだよ!』
『……………リックか、君にはうんざりしてたよ。いつも僕の友達ヅラをしてくる無能なお前にはな!』
俺は何を見せられているんだ。
モニターを見ながら項垂れる。俺は今、『幻想学園』と言うゲームをプレイしている。
このシーンだけを見たらRPGかと思う人もいるかもしれないが、実はギャルゲーだ。
一生遊べる学園ファンタジーと言うコンセプトで作られたこのゲームはただ選択肢を選んで女の子の好感度を上げるだけではなく、戦闘やミニゲームなどもあり人気のある作品だ。また難易度が高いことでも知られている。
『何を言っているんだ! いい加減目を覚ませ! 人類を征服するなんて寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ!』
『くくくくっ! ハハハハッ! これだから凡人は……おいで! 僕の姫達!』
モニターの中ではカインと呼ばれた青年の後ろから女の子が7人出て来た。このゲームの攻略可能なヒロイン達だ。
『おまえら……』
リックと言われた青年は絶望して下を向いている。
『まあいい、そこでこの世界が壊れていく瞬間を見せてあげよう』
それからあらゆる国に攻撃している映像がダイジェスト形式で流れる。
実際ヒロインの女の子達は高い戦闘能力を持ち王女や聖女と言った物語のキーパーソンばかりなのでこの世界を侵略するのも簡単だろう。
「なんだこの急展開……」
思わず呟いてしまう。
『さあ最後は君だけだ。じゃあね、僕の友人リック・ゲインバース君』
そうして最後に画面は真っ赤に染まりエンディング画面が流れ始めた。
「これで終わりとか胸糞かよ! 俺の時間を返せ!」
この俺、幹亮介は今まで我慢していた怒りを机にぶつけるようにバンッと手を振り下ろした。
大学の授業もサボり、バイトもサボってこのゲームをやった時間を返してほしい。
因みに俺が今見ていたのはギャルゲで良くあるバッドエンドの内の1つというわけでは無い。
このルートは、今作最高難易度を誇るハーレムエンドだ。開発陣はこのエンディングが真エンディングだと発表している。
因みに主人公はどっちだと思う? 世界征服を企む、カインの方なんだぜ。
本当はギャルゲ主人公にありがちな人畜無害系の主人公なんだが、ハーレムルートの途中で悪に目覚めたせいでこんな状況になっていたって訳だ。
そしてそれを止めようとしていたのはギャルゲの序盤でヒロインの説明や色々な事を教えてくれる、親友枠に当たるリックという男だ。
またリックは人気投票でも1番を取るくらい人気なキャラだ。なのにこのゲームの中では不遇な扱いを受けている。このキャラが生き残る事は絶対にないのだ。どのルートへ進んでも絶対に死ぬ。そんなキャラクターなのだ。
設定ではイケメンでチャラ男のような見た目だが、実は情に厚く仲間の事を1番に考えているという、熱い男なのだ。
そんなギャップもあり男でありながらギャルゲの人気投票で1位になっているのだろう。
このゲームをプレイした人達の中には真のヒロインはリックとまで言う人もいる。因みに俺もそう思っている。
そんなリックが必ず死ぬと分かるとクレームを入れた人がいた。
その人の答えに開発陣はこう言った、イケメン死すべし、と。
ギャルゲをやる人間にイケメンに対して良い印象を覚える奴は多くないだろう。俺だってイケメンには悪い印象を持っている。
この開発陣の言葉に俺達プレイヤーは悔しいが、返す言葉がなかったのだ。
そんなゲームだが、ストーリーや戦闘、ミニゲームなんかはよく出来ていて、このハーレムエンド以外は楽しかった。ただ次回はリックが主人公でお願いします。
そう思いながらゲーム機の電源をオフにしようとすると、ある表示が出て来た。
難易度エクストラに挑戦しますか?
ん? なんだこれ? ハード以上の難易度があるとか聞いた事ないぞ。まあいいか、はいっと。
「…………何も起きない」
ボタンを押したが何も起きない。モニターには真っ黒な画面が映っているだけだ。バグか?
まあいいか。疲れたし、寝るか。
俺がベッドに横になるとすぐに眠気が襲って来た。
『幻想学園』楽しかったなー、……ハーレムルート以外。
俺が意識を無くすまでにそう時間は掛からなかった。
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