No.15【短編×謎解き】余命5分

鉄生 裕

余命5分

【※注意※】

読み始める前に、是非スマホのタイマーを《5分》にセットしてから

読み始めてみてください。

きっと、より小説の中の世界に浸れるはずです。



この小説は、作品内で進む時間と読者が読み進めるリアルタイムが

シンクロするように時間を調整して書いています。


普通に読んでいただいても面白くなるように書いたつもりですが、

よければ是非、手持ちのスマホでタイマーをセットして、

主人公になりきって実際に連続爆弾魔から出された問題を5分以内に

解いてみてください!


本文中に、

【※お手持ちのタイマーの開始ボタンを押してください】

という文言が出てきますので、その場面になりましたら、

5分で設定しているタイマーの開始ボタンを押してください。




・・・と、色々言いましたが、つまりは制限時間5分の謎々です(笑

ですが、読み進めていくうちにヒントなども出てきますので、

一緒に考えて楽しんでいただけたら嬉しいです。




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ある日、名探偵のあなたの携帯に非通知設定の電話がかかってきた。


電話の相手は、自分のことを『ボマー』と名乗り、

今すぐに新宿イーストマウンテンタワーの屋上まで来いとだけ言うと

電話は切れてしまった。


ここ数日、都内で爆発事故が頻繁に発生しているとニュースでは報道されているが

それは真っ赤な嘘だ。


ニュースでは爆発を事故として報道しているが、

それは全て“連続爆弾魔ボマー”によるものであった。


爆発が起こった現場には、『ボマー参上!』と書かれた真っ白な紙が必ず落ちていた。


だが、市民に恐怖を与えないためにも

ボマーの存在は公表されることなく、事故として処理されていた。




新宿イーストマウンテンタワーの屋上に着くと、

手足を拘束され、さらにはテープで口を塞がれた四人の男がいた。


しかも、彼らの胸には時限爆弾がガムテープでグルグルに巻きつけられていた。


やはり、先程あなたに電話をかけてきたのは、

連続爆弾魔ボマーで間違いなかった。


「新藤さん?どうして新藤さんが!?」


あなたは、四人の男のうちの一人の顔を見てそう叫んだ。


あなたが新藤と呼んだ男は刑事で、顔見知りでもあった。


「ちょっと待ってくれ。あなたもどこかで見たことがあるぞ。・・・そうだ、たしかあなたは夕方のニュース番組に出ている天気予報士だよな?」


新藤の隣にいた男は、テレビにも出ている天気予報士の牧野だった。


「あなたの事も知ってる。先月、都内の高層マンションで大きな火災があった際に、マンションに取り残された二十四人全員を救出して有名になった消防士だ」


あなたは、新藤・牧野・消防士の三人のことは知っていたが、

四人目の男の顔には覚えがなかった。


四人目の男の特徴と言えば、彼の右手に大きな時計が握られている事だった。




するとその時、またしてもあなたの携帯に非通知設定の電話がかかってきた。


「さぁ、名探偵さん。制限時間は5分、正解は一つだけだ。

見事正解を当てることが出来たら、

その時点で四つの時限爆弾が全てストップするようになっている。

ただし、誤った爆弾のコードを切ったり、制限時間を1秒でも過ぎた場合は、

その時点で・・・ボン!だ」


四人の時限爆弾からは、一本ずつ導線のようなものが伸びていた。


おそらく、ボマーの言っているコードというのは、その導線の事だろう。


「さて、それではゲームを始めようか」


ボマーがそう言うと、四人に巻きつけられている時限爆弾に表示されていた【05:00】という数字が、カウントダウンを始めた。




【※お手持ちのタイマーの開始ボタンを押してください】




「それでは、問題だ。

【294】 【236】 【296】

仲間外れは、だ~れだ?」




考えろ。


三つの数字。


三桁の三つの数字。


全ての数字が三桁なのには、何か意味があるのか?


どうして、三つとも『2』から始まる三桁の数字なんだ?




「いいか?仲間外れを当てるんだぞ。

お前の目の前にいる四人のうち、たった一人の仲間外れを当てるんだ。

そいつが、このナゾナゾの正解だ。

名探偵なら、その数字の意味に気付くことなんて容易だろう。

制限時間は五分しかないんだ。

ただし、失敗した場合は・・・。

ほらほら、あっという間に30秒が経っちまうぞ」






仲間外れとは、いったいどういう意味なんだ?


考えるんだ。


三つの数字に、何か規則性はあるのか?


考えるんだ。




「空を読み、予言する者。

危険に立ち向かい、命を守る者。

悪を追い、正義を貫く者。

時を刻み、告げる者。

さて、仲間外れは誰だろうな?」




四人の男に巻きつけられた時限爆弾。


『2』から始まる、三桁の三つの数字。


彼らとこの三つの数字には、何かしらの関係性があるのは確かだ。


だが、それが分からない。


いったい、どんな関係性があるというんだ?


この数字には、いったい何の意味があるんだ?


【294】 【236】 【296】


この順番にすら、何か意味があるというのか?







「名探偵が必要なものは、頭の柔らかさだけかい?」




どういう意味だ?


目の前にいる四人の男と三つの数字だけでは、

この謎は解けないという事か?


よし、もう一度最初から整理しよう。




ボマーは、『仲間外れは誰だ?』と言った。




目の前にいるのは、四人の男。


一人は、空を読み予言する者。

一人は、危険に立ち向かい命を守る者。

一人は、悪を追い正義を貫く者。

一人は、時を刻み告げる者。




提示された三つの数字。


【294】 【236】 【296】







「じっくり考えるのもいいけど、タイムリミットは着々と迫ってきているぞ。

大丈夫かい?残りはもう4分を切る頃だろう?」




落ち着くんだ。


数字に囚われすぎてはいけない。


数字以外の事にも目を向けなければ。


視野を広げるんだ。




そもそも、なぜこの四人なんだ?




【空を読み、予言する者】

それは、天気予報士のことを意味しているはずだ。


【危険に立ち向かい、命を守る者】

これは、恐らく消防士のことを意味している。


そうなると、

【悪を追い、正義を貫く者】

というのは、刑事のことを意味しているのだろう。


だとすると、

【時を刻み、告げる者】

というのは、右手に時計を握っているこの男のことを言っているのか?




天気予報士、消防士、刑事、時計の男




この四人に、何かしらの共通点があるというのか?




「本当に大丈夫かい?

そろそろ残り時間も3分半になる頃だろう。

名探偵なら、既に正解のコードを切っている頃だと思ったのに、残念だよ。

私の期待しすぎだったのかな?」




クソッ。


ボマーの挑発に乗ってはいけない。


冷静になるんだ。


落ち着いて、三つの数字と四人の関連性を探すんだ。


頭を柔らかくして、視野を広げるんだ。




四人の男は、何かのアナグラムを意味しているのか?


天気予報士、消防士、刑事、時計の男


例えば、これを全てひらがなにして、文字を入れ替えてみたらどうだろうか。


【てんきよほうし】 【しょうぼうし】 【けいじ】 【とけいのおとこ】




いや、そうじゃない。


そもそも、時計の男だけが不自然だ。


他の三人は天気予報士、消防士、刑事という職業が思いつくが、

だとすると時計の男は何者なんだ?


時計に関連する職業か?


時計屋?


【天気予報士】 【消防士】 【刑事】 【時計屋】


四人の共通点と、唯一の仲間外れとは?







「おいおい、本当に大丈夫かい?

残りの時間は、もしかして3分半を切ったんじゃないか?

しょうがないな、それじゃあ一つだけヒントをやろう。

『お前が持っているもの、な~んだ?』」




俺が持っているもの?


何を言っているんだ?


俺が持っているものといえば、

ボマーと話すために使っているこの携帯くらいだろう。


携帯に何か意味があるのか?







・・・待てよ。


携帯?


もしかして、そういう事なのか?




もしその考えが正しいなら、

【時を刻み、告げる者】

とは、つまりはそういう意味になる。




では、三つの数字はどういう意味があるんだ?


もしかして、個々の数字は、二つの数字を組み合わせた合計の値という事か?




●【携帯】

●【294】【236】【296】

●【天気予報士】【消防士】【刑事】【時計屋】




もし私の考えが正しければ、四人の男に関係した『4つの知識』が必要ではないか。


その知識が一つでも欠けていれば、この問題を解くのは困難じゃないか。




いや、そうじゃないな。


よくよく考えれば、『4つの知識』なんて必要無いじゃないか。


『ある1つの数字』さえ知っていれば、この問題は簡単に解けるぞ。




「残り時間はあと3分ってとこだろう?

そろそろ答えを導き出さないと、本当に爆発しちゃうぞ」




大丈夫だ。


すでに答えは出ている。


それに、こんな謎々を解かなくても、

俺は前からアンタの事が怪しと思ってたんだよ。


だが、何事も用心は必要だ。


まだ少しだけ時間はあるし、

その考えが正しいのか、もう一度だけ整理しよう。




「さぁ、名探偵。

残り時間は3分前後だろう。

まだ答えが分からないようなら、

残された少ない時間で、もう一度ヒントや数字を思い返すんだな。

それでも最後まで分からなければ、勘でもいいさ。

お前が今までに培ってきた経験と勘を信じて、

正解と思う一人を選ぶのもいいだろう。

お前がやらなければいけない事は、たった一つだけだ。

手持ちのタイマーが【00:00】になる前に、

正解だと思う人物を、必ず一人だけ選ぶ。

たったそれだけだよ」




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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


日本人の平均読書速度は、一分間に400~600文字と言われています。

そして、声を出して読む場合は、500文字前後という方が多いらしいです。


という事で、文字数を調整しながらリアルタイムとシンクロ

できるように書いてみました。

いかがでしたでしょうか?

作中の時間とリアルタイムはいい感じにシンクロ出来ていたでしょうか?


読む速さは個人で異なってくるので、「全然シンクロしてないよ!」

という方がいましたら、・・・すいません。




さて、実際にタイマーを用意して読んでいただいた方は、

タイマーがゼロになる前に、四人の中から一人を選べたでしょうか?


もちろん謎々だけで正解を導き出すこともできますが、

実はもう一つ、ちょっとした伏線みたいなものを作中に入れています。


謎々が苦手な方でも、小説好きな方ならその伏線に気付いていただけたかも・・・


謎々から答えを導き出せた方も、伏線に気付いた方も、百パーセント勘の方も、

正解すれば同じことです。




それでは、続編として四つの物語を用意しています。


四つの物語の中から、正解だと思う人物のタイトルを

【一つだけ選んで】読んで見てください。


名探偵のあなたは、見事に正解を当てることが出来たでしょうか!?

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