第3話 最強剣士
「やっと町に着いたー」
シルビィは、町の城門の前で気持ち良さそうに伸びをした。そして俺は、倒れ込み、死にそうな形相をしている。
「アーロイって、体力ないねー。戦闘系の職業じゃないんだー。」
「まぁ、、そうですね、、、」
結局この町までの道のりで俺の能力のことは、話せなかった。言ってしまえば、直ぐにでも終われるのにな…
「取り敢えず今日は宿に泊まりましょ?早くベッドで休みたぁーい。」
「それは賛成だな。」
俺はよたよたしながらシルビィの後ろを着いていった。
少し歩いたところに宿屋はあった。しかし、店先に人だかりが出来ていて、中に入れずにいる。
「ケンカっぽいね。」
人混みを掻き分けて中央を見てみると大男二人が口論をしていた。一触即発の雰囲気に周りは固唾を飲んで見守っている。
「ヤバそうだな…一旦出直そうシルビィ。………?」
隣を見るがシルビィの姿はない。そして、信じられないことに口論している大男二人のもとに歩いて行ってる。
「ねぇ、おじさんたち退いてくれない?宿に入れないんだけど?」
ちょっとシルビィさぁーん!!何やってるんですかー?!
「なんだ?嬢ちゃん。今取り込み中だ!後にしな。」
「私たちは早くなかで休みたいのよ。ケンカならどっか他でやってくれない?」
「うるせぇなぁ!!しゃしゃり出てくんなよガキが!!!」
男の拳が容赦なくシルビィへ向かった。思わず駆け出そうとする俺よりも格段に早く彼女の剣が鞘から抜かれた。
鼓月に描かれた剣筋が殴りかかった男の顔の前を通りすぎる。
「!!」
そして、一瞬怯んだ男の動作をシルビィは見逃さない。すかさず身体を反転させると剣の柄を男のみぞおちにぶつけた。
「かはっ、、、」
嗚咽混じりの声と共に男の身体は崩れ落ちていった。
一時の静寂が場を包む。そして直ぐに歓喜の声がその場を支配した。
「嬢ちゃんすげーなぁー!!」
「やったわぁー。すっきりしたー!!」
数々の称賛の声がシルビィに浴びせられた。
昏倒させられた男の隣で、もう一人の男が立ち尽くしていた。あの一瞬で実力の差を知ったのだろう、青ざめた顔をしていた。そして、歓声のどさくさに紛れて倒れた男を引きずりながら小さく去っていった。
「アーロイ!!」
シルビィが人混みを掻き分けて俺のもとへ戻ってくる。
「さぁ、早く宿屋に入ろう。宿屋の店主さんが、今のお礼に宿代タダにしてくれるんだってー!ラッキー!!」
はしゃぐシルビィだが、俺は彼女の戦闘能力に呆気に取られていた。
「あっ、あぁ。シルビィって、強いんだな。」
「?あんなの軽いよー。他の冒険者さんの方が実力は段違いだからね。これからの道のりは、一人だと難しそうだし、パーティーメンバー欲しかったんだ。アーロイくん!期待してるからね!?」
あー。胃の痛い話をしてくる。旅の前途はまだまだ多難なようだ。
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