『ひとりぼっちの吸血鬼』

来た、来た、夜が来た。

僕らの夜だ。

邪魔はいなくて、僕らだけの静かな楽園だ。

風の音が聞こえる。


鳴いている。

オオカミが、鳴いている。

孤独に鳴いている。


人が来た。

ふらふらふらふら よろめいて。

どうやらはぐれ者みたいだ。

仲間にしてあげよう。

家族にしてあげよう。


僕らはみんなつながっている。

血という形で、手という形で。

孤独という形で。

僕らは寂しがりなんだ。

つながりが欲しいんだ。


こうやってつながりはつくるものだと、

ぼくはあの日あの人に、おそわったんだ。


だからこれは、まちがってなんて、いないんだ。

ぼくは、さびしくなんて──

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