Inc.Angelo
吐夢
人生論
人生の9割は苦痛だった。1割の楽しみや喜びのために生きていたと思うか?そんなわけないだろ。ただ死ねなかっただけ。ただそれだけ。生きているって考えるだけで苦痛に感じた。すれ違う人々が怖かった。人生を順調に送っている人ばかりのように思えた。ましてや俺を卑下しているように見えた。嫉妬や怒りの感情もなくなり、ただ恐怖だけを感じた。外に出るのが嫌になった。周りを見るのが嫌になった。そしてどんどん落ちていった。元々の自分が見えなくなるくらいに落ちていった。益々、生きているのが苦痛になった。母親に言われた、「もっとちゃんとして」って。そう言われても"ちゃんとする"ってどうすればできるんだよ。自分だってこんな人生から抜け出したかった。普通に生きたかった。みんなと同じように。だがちょっとしたことでみんなと歯車が狂ってしまった。道を間違えてしまった。落ちるスピードはジェットコースターより速かった。普通っていう言葉を恨んだ。みんなと同じということが普通の意味であるのならば、俺は異常だ。そして、俺から見たらみんなが異常だ。人間は異常なものを排除しようとする。俺は当然、排除された。ゴミ箱行きだ。死ぬ為に生きていた。死ぬことが人生の最大の幸福だと疑わなかった。誰かは言う、「生きたくても生きれない人がいる」と。じゃあ、俺はその逆だよ。「死にたくても死ねない人もいる。」と教えてあげる。神様がいるとしたら教えて欲しい。何故、俺を作ったのかを。神様ならば俺がこうやって人生に苦痛を感じることを知っていたはずだ。もしも神がそうやって人が苦しむ姿を見て楽しんでいるのならばそれはただの悪魔だ。そんな奴に誰がお願いしたりお供え物をしたりするもんかよ。もし神が人間の願いを叶えるのならば早く俺を殺してくれ。何度も何度も頼んでるのに一向に死にやしなかった。だから俺は神なんて存在を信じるのをやめた。神なんてただの誰かの妄想にすぎない。国を治めたり、自分の考えを広めたりするのにそういった巨大な力を持つ神という存在を作り上げただけだ。人間は弱いから巨大な力に従っていれば安心する。自分一人では何をして生きればいいのかわからなくなるからだ。集団心理もその一つだ。無宗教の国の自殺率が高いのはそう言った理由もあるのだろう。人間が自分の生きる意味を考えたら終わりだ。人間には生きる意味なんて無い、ただの繁殖行動で生まれただけなのだから。そうやって考えた途端、何も意欲がなくなる。やる気なんて全く出ない。だって今の時代は何もしなくても生きられる時代になったのだから。生きるのに渇望しなくなったのだから。死んだらどうなるのだろうという考えが頭の中を無限ループする。誰も死んだ後のことは知らないから全てが想像で固められている。天国や地獄に行くだとか、また生まれ変わるとか。天国や地獄にいったところで地獄だし、また生まれ変わるのも地獄だ。死の無限ループが完成する。だが早くこの人生を終わらせることがいま考えられる中で一番幸せだろう。死んだら俺の意識を消し去って欲しい。そう願っていた。
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