なまはげが役に立つお話


 まず、一言申しておきますと。


 今回は子供に大嘘をつくという非難されそうなお話ですが、それだけ切羽詰まっていたんだな、という事を感じとって頂ければ本望です。


 それでは。


 なまはげが役に立つお話スタートです!



 ☆



 個人差はありますが、ある程度体力のついた子供は夜寝てくれません。


 何故ならば、保育園でお昼寝をしているからです。


 かと言って、お昼寝しないと凄く中途半端に眠っちゃったり。

 難しいのです。


 でも早く寝て欲しい。

 21時には寝て欲しい。

 読み聞かせしても、トントンしても、目がランランとしている姿は、本当に辛いです。


 そこで思いついたのが、脅すという最終手段です。

 当時の恐怖カーストの頂点が、鬼でした。


 私は寝ない二人に「早く目を瞑らないと鬼が来るよ!」と脅して寝かしていました。


 そして、何がどうなってそうなったのか。

 寝ないと鬼=なまはげが来るという設定になっていました。


 なまはげが鬼では無いのは知っていましたが、鬼らしい見た目とターゲットが子供であり、「悪い子は居ねがー」というフレーズが我が家の問題解決にマッチしていたので(本当にすみません)、なまはげさんに大いに活躍をして頂きました。



 私はまず二人にグーグルマップで秋田県の男鹿半島の地図を見せました。


「ここがなまはげさんが住んでいる所。ここから、寝ないウエとシタの家までたった一時間で走って来るんだよ」


「「えっ!」」


 二人は恐怖します。


 ちなみに我が家は東京です。

 電車でも六時間。

 徒歩だと五日かかりますが、なまはげさんは一時間で走って来るのです。


 瞬間移動じゃないのは、徐々に迫りくる恐怖を二人に感じて欲しかったのです。



 二人は寝る前に「なまはげ、今どこにいるの?」と真顔で私に聞きます。


 私はグーグルマップを立ち上げ、


「やばい! もう関東に入った!」とか「もう保育園まで来ている!」と言い二人は急いで目を瞑ります。


 しばらくそれで大成功でしたが、知恵が付いてくると、マップを見せろと言い始めたのです。


 とりあえず、適当な所をタップしドラゴンレーダーの如く赤いマークを見せて「……ウエ! ここまで来ている」と真顔で苦し紛れの嘘をつくのです。


 こ、こんなに近い所まで……?! と恐怖するウエとシタ。


 静かに頷く母。


 今は小学生になり、昼寝も無くなり、普通に希望時間にぐっすりと寝てくれる様になりましたが……。


 いやー。本当に当時は苦しかった。


 まったくおすすめしないお話でした!

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