第274話 ホームレス総理大臣
ホームレス総理: まさか、こんなところでこんな素晴らしいアートに出会えるとは思わなかった。あなたは、このホームレスコミュニティの仲間ですか?
ダイラ: 実は、私はアーティストであり、ただ、ここでさまさな境遇の人々にプラネタリウムを楽しんでもらい、新しい視点を提供しようとしているんだ。
ホームレス総理: それは素晴らしい使命だね。でも、なぜ自転車にプラネタリウムをくくり付けてアートをしているんだ?
ダイラ: このプラネタリウムは「世界の在り方」を表現しているんだ。夜空に輝く星々と、私たちの小さな地球。人々が忙しく生活する中で、その宇宙の美しさに気付くことって少ないよね。
ホームレス総理: そうだね、確かに。でも、なぜ人々の生活水準が上がり便利な世の中なのに、我々ホームレスまでがこんなにクソ忙しい毎日を送っているのか!私は総理の仕事より、苦戦しているのだ。
ダイラ: それは、人々の欲望が肥大化され、一瞬の美しい瞬間に気付かなくなってしまったからさ。この先も暇な時間は生み出される事はない。自転車は人類の最大の発明だと思うけど、有り難がるヤツはいない。
ホームレス総理: では一体、この社会の在り方を変えるにはどうすればいいんだろう?
ダイラ: 変えるには、人々が一歩立ち止まって、周りの美しさや大切なことに気付く必要があるよ。プラネタリウムのように、小さな瞬間に光を当てることが大切だと思うんだ。
ホームレス総理: 君の言葉に感銘を受けたよ。社会を変えるには、人々が自分たちの周りの美しさに気付くことが必要なんだね。でも、政治家としても、私ができることはあるんじゃないかと思ってるんだ。
ダイラ: あなたはホームレス総理。それは素晴らしい考えだけど、この街で越冬してから考えた方がいい。そしたら、政治の力を使って、社会全体に変化をもたらすことができるかもしれない。でも、忙しい政治家の立場から、一歩立ち止まって美しい瞬間に気付くのも大切だよ。あと、自転車泥棒は大罪にすべき。
ホームレス総理: その通りだ。私が政治家として活動する一方で、このような美しいアートやプラネタリウムを楽しむことで、忙しい日常を忘れて、人々にも同じことを感じてほしい。ありがとう、ダイラ。私が今跨っているこのチャリンコも駅前で拝借したもの。反省して、交番に届けます。
ダイラ: どういたしまして。そして、頑張ってね、ホームレス総理。変化をもたらすために、まずは自分から始めることが大切だよ。その自転車は人類の発明品だからね♡
ホームレス総理とダイラは、街の公園での対話を通じて、社会の在り方や美しさについて考えることができた。ホームレス総理は、政治家としての使命を果たす一方で、日常の美しい瞬間に気付くことを忘れないことを誓った。そして、自称ホームレス総理はSPの指示に従って、盗品自転車を降り、ダンボール小屋に姿を消した。
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