おじいちゃんの小さな瓶

房成 あやめ

小さな瓶の中の小さな青い光の玉

 ある春の日の夕方、お母さんが入院している病院の部屋の廊下で、リュウトくんのおじいちゃんは言いました。


「小さな瓶の話をしようか。」


 おじいちゃんは、いつも小さな瓶を持っています。綺麗な小さな小さな青い光の玉が入った、手のひらくらいの小さな瓶です。リュウトくんはその小さな瓶が何なのか、そしてどうしてそんなに大切か不思議に思っていたのでした。


「この光の玉は、お前が産まれる時にわしが取ってきた星なんじゃ。」


 リュウトくんはそんなのウソだと言いました。だって、学校の先生が星は遠くにあって取れないと言っていたから。おじいちゃんはやさしく微笑んで続けました。


「ある日、ちょうど今日のような暖かい日だったか、日向ぼっこしながらうたた寝しているとなあ、夢に妖精が現れたんじゃ。青い光に包まれてよく見えなかったが小さい子供のようだった。妖精はこう言ったんじゃ。今星が生まれました、取りに来て、とな。


 わしゃ不思議じゃと思いながら目を覚ましたら、わしの娘、お前さんの母さんが電話をくれてな、母さんの中にお前さんがいることがわかったんじゃ。」


 リュウトくんは妖精なんているわけないと思いましたが、友達のさっちゃんが妖精を見たと言っていたことを思い出しました。


 それにお母さんの中にリュウトくんがいるというのはどういうことなのでしょうか。小さい子なら最近膨れてきたお母さんのお腹に入ることができるかもしれませんが、このままのリュウトくんがお母さんの中に入れるはずがありませんし、第一中からどうやって出てきたというのでしょう。


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