ふうらりふらりの道の果て

星色輝吏っ💤

第1話「…………がーん」

「…………がーん」


 わたし――目髙梓めだかあずさは、がっかりしていた。


「…………がーん」


 中学ちゅうがく卒業旅行そつぎょうりょこう中止ちゅうしになったのだ。


「……がーん」


 わたし手元てもとにあるプリントには、『卒業旅行中止そつぎょうりょこうちゅうしのおらせ』とかれている。


台風たいふうのため中止ちゅうしですぅってなによ! なんで延期えんきじゃないの? なんで中止ちゅうしなの!」


 わたしは――この旅行りょこうのために中学ちゅうがくかよっていたといってもよかった。


 たしかに友達ともだちはなすのはたのしいけど、学校がっこう勉強べんきょうわたしにとってほんとうにつらい。


「がーん」


「がーん」


「がーん」


「がーん」

「――ガンガンうるさいんだよ、はや勉強べんきょうしろ!」


 ……おかあさんにおこられた。(だってしょうがないじゃん。勉強嫌べんきょうきらいなんだもん。だってしょうがないじゃん。旅行りょこうがなかったら私生わたしいきている意味いみないんだもん。もうらない。

 旅行行りょこういきたいってってもめったにかせてくれないし。地球ちきゅうには、無数むすう旅行りょこうスポットがあるんだよ。なのになんでみんなつめたいことうのかな……。

 くちひらけば勉強べんきょうしろ勉強べんきょうしろって。たしかに趣味しゅみひとそれぞれだから、わたし旅行りょこうへのあいはわからないかもしれないけど、ちょっとくらいわたしになってよ)


「……はあ。がーん。気分転換きぶんてんかんにコンビニにたびようかな」


 わたしみたいな旅好たびず人間にんげんは、最低さいていでもちかくのコンビニくらいにはたびないと、精神的せいしんてきんでしまうのだ。


「おかあさーん。わたしコンビニってくるけど、なんかいる?」


「あー……わたしはいらないけどおとうさんがつかれてかえってくるとおもうからアイスってきて」


「りょうかーい」


 わたしのおとうさんは、すごうでの大工だいくさんだ。仕事しごとしているところはあんまりたことないけど、本当ほんとうにすごいひとらしい。いつもあせをかいてかえってて、ぼうアイスを三本一気さんぼんいっきにむさぼるのだ。

 わたしすこしでも旅気分たびきぶんにしようと、いつでも旅行りょこうけるよう準備じゅんびしておいたおおきめのキャリーケースをもって、かけるときようのかっこいいくついて、そとる。


 ……さて。東西南北とうざいなんぼくどちらにかってもコンビニはあるが……。


今日きょうきたこう!」


 ……という気分きぶんなので、きたのコンビニへかう。


 スキップもまじえた軽快けいかいなリズムをきざみ、道路どうろすすんでいく。住宅街じゅうたくがいけて、大通おおどおりにてすぐのところがコンビニ。



 ――コンビニへいた。



「――ありがとうございました!」


「ふぅ……えたえた」


 店員てんいんさんがいいひとかった。お菓子かしコーナーにぶつかってお菓子かしをいろいろとしてしまったのだが、一緒いっしょにお菓子かしひろってくれた。


「あの店員てんいんさんイケメンだなあ。でもいつもいないような? しんじんさんかな?」


 わたしはコンビニをて、帰路きろく。さっきとおな軽快けいかいなステップだ。住宅街じゅうたくがいに入り、つぎかどがれば……。


「――きゃーーーっ!」


(なんだ……? うしろから悲鳴ひめいが――って、うっ――!)



っ…………ぐわぁぁぁぁぁぁっ――」




 ――わたしは、とおされてんだ。

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