第25話番外 修正【完】

 翌日からとある2年生が学校に来なくなったと、噂が広がったらしい。

 その2年生が男子生徒で、嫌な噂が立っていた。

 誰かは予想出来るが、まぁ俺には関係ないだろう。

 自業自得、そう思っておこう。


 そして現在、俺達は何時もの屋上では無く、新聞部の部室に来ていた。

 どうして部室に居るのか、正直訳が分からなかった。


 昼に成った瞬間に西園寺が「こっち」と腕を引っ張って来たのだ。

 そして、この中に入った。

 愛桜の話では相葉は熱で休んでいるらしい。

 何とも可哀想だが、生憎家が分からないのでお見舞いにも行けない。


 新聞部の中には当然のように凛桜が居た。

 そして、新聞部のよく分からない人が2人居た。

 男子生徒と女子生徒だ。

 前髪が長い訳でも無いのに、上手く顔が見えない。

 てか、口があるかも怪しい。

 え、怪奇現象?


「どうも、モブGです」


「今回はインタビューに応じて頂き感謝致します。モブHです」


「⋯⋯もしかして、モブAさんとか、知ってます?」


「僕の父はモブBです」


「私の父がモブAです」


「そうですか」


「なかなか個性的な名前ですけど、大変ではありませんか?」


「大丈夫です。今回限りの人数合わせ的な感じなので。僕達は出て来た時に動くだけなので」


「はい」


 うん? ちょっと何言っているか分からないけど、まぁ、本題はそっちじゃないね。

 えっと、インタビューとか言ってたんだが⋯⋯それに西園寺が応えるとは思わない。

 何があったんだ?


「伊集院君。今日一緒に帰りましょー」


「はいはい。姉貴、今はそれ関係ないんで、時間割くようならおかえり願いやす」


「黙って見てます」


「ごほん。それではインタビューを開始します。まずは西園寺雪姫さん。貴女はどうやって伊集院君と出会いました?」


「そうですね」


 そして、西園寺は語り出した。

 俺があんまり覚えてない昔の思い出を。


 ◇


 退屈で退屈で詰まらなく、人生にも飽きた小学1年生の頃。


「ちょっと待ったああ!」


「なんですか拓海君?」


「話重くない?」


「伊集院さん。安心してください。この物語のレギュラーキャラの殆どは暗い話があるのがテンプレですから。会話を入れるとややこしくなるので黙っていてください。それでは、再開です」


 昨日の日は大雨で流れが激しく汚れている川に来ている。

 小学生と言う小さな体。

 川に入れば死ぬのは確実でしょう。

 しかし、今の人生に退屈で詰まらなく飽きた私は、そこに身を投げようとしました。


 ですが、そこで服を引っ張られました。

 誰かと、そう思い振り向くと。

『こいつ頭狂ってるんじゃないの?』と言う顔をしている黒髪の男の子が居ました。

 それが、最初の出会いです。


 ◇


「ありがとうございます。ですが、拓海は──」


「「ちょっと待ちなさい」」


「なんですか? 姉貴に雪姫穣」


「なんですか? じゃないですよ! なんで呼び捨てにしているんですか! 兄妹が居ますし、下の名前は1那由多歩譲って良いとして、呼び捨てはダメでしょ! 呼び捨ては!」


「そうよ! 妹なのに姉よりも速く下の名前で呼ぶとかズルいよ! しかも、呼び捨てってなんですか! 私に当てつけ! ねぇ、日頃の恨みでも晴らしてる! 日頃のストレス発散してるの!」


「そう言う行動だって分かってたんっすね。なんか複雑⋯⋯まぁうちはあっちゃん公認やからね」


「あっちゃん?」


 愛桜は愛海ととても仲がいい。

 海華とも仲がいい。

 俺の部屋に凛桜と西園寺が来た時に、2人と遊んでくれている。

 3人は互いにニックネームで呼び会う程に仲が良い。


「話がそれましたね。その事を拓海は覚えてますか?」


「⋯⋯雪姫さんには悪いけど、あんまり」


「ですよね。それでは──」


「すみません」


「なにモブG?」


「約1500文字行ったので、次の展開に入ります。取り敢えず、終わりです。メタ発言多めの番外話を読んでくださり、感謝致します」


 ◆


 何か不思議なモブG、Hさん達だったと振り返る。

 何を言っているのか時々理解出来なかった。


 ちなみに帰りは本当に凛桜が居た。

 寧ろ、全員いた。

 俺、西園寺、凛桜、ビデオカメラを向けて来る愛桜、その光景を笑って見ている神威。

 現在皆で屋敷に向かっている。

 神威は今日はバイトで行くらしい。


 到着すると愛海と海華が出迎えてくれた。

 愛海が「コレッ!」と言ってクッキーを差し出してくれた。


「どうしたの?」


「料理人さん達に聞いて、頑張って覚えたんだ! テスト終わったから、その息抜き! 明日からお兄ちゃん達もテストでしょ! その応援だよ!」


「私も手伝ったぁ!」


「うぅ。2人ともありがとう」


 ちなみに西園寺達もあった。

 神威、明日テストだけどバイトしてて問題ないんかね?

 ⋯⋯あれ? 中学生の頃の新聞配達や小遣い稼ぎの空き缶広い諸々を思い出した。

 そうだな。俺は神威を責めない。友だもの。


 西園寺と凛桜のクッキーはハート型で、全部中央に綺麗な切れ目が会って割れていた。

 逆に愛桜の方は動物等のクッキーであった。

 俺のは金だった。1円、5円、10円、50円、100円、500円、1000円、10000円のクッキーだった。


「こんな細かい所まで。よく出来たね」


「うん! お兄ちゃんに喜んで貰えるように、海華と頑張った。型は海華が起用で上手く出来たんだ。食べてみて」


「いただきます」


 10円を取って、食べる。


「うん。美味い。本当に美味いよ。2人が作ってくれたと思うと、もっと美味く感じるよ。本当にありがとう。テスト、頑張るよ」


「「うん!」」


「苦い」


「辛い」


「「わざと?」」


「あっちゃん、ウーちゃん、美味しいよ。ありがとうね」


「「うん!」」


「「おいコラ」」


 4人でリビングに向かって、そこで勉強会を始める。

 疲れて来たら愛海達が作ってくれたクッキーや入れてくれた紅茶を飲んだりして少し休む。

 2人の想いがじんわりと伝わって来て、頑張る気力が湧いた。


 途中から神威も合流したけど、神威には無かった。

 予想外だったようだ。


 ◇


 数日前、頑張ってくれていた兄の為に2人が出来る事を探していた。

 高校、しかも偏差値の高い学園である拓海達の学園。

 テストは当然難しく、ライバルも多いだろう。

 故に、何かしてやりたいと思ったのだ。


「こう言うのは甘い物が良いと聞きます」


「何にしますか!」


 自分達、海華が居るので針等の危険な物は使いたくない。

 安全で、それで居て2人で作れるのは料理だった。

 刃物は使わせない。海華はそれなら納得する。


「⋯⋯ママ、ママがお祝いとかそう言うので作ってくれた物があったね!」


「クッキーだぁ!」


「そう! でも、作り方分かんないなぁ。ネットも難しいし、9.9割は嘘だって言うし、このクック〇ッドも本当か怪しいし⋯⋯よし!」


 2人は厨房に行き、料理長に頭を下げていた。


「「お願いします!」」


「⋯⋯良いだろう。2人の想い、伝わったぜ! あんたらが毎日のように料理作るもんでこっちも暇だったんだ! 久しぶりにお嬢様方に何か出来んなら喜んでだ! 厳しく教えてやる!」


「「⋯⋯ッ! ありがとうございます!」」


 料理長はこの時思っていなかった。

 雪姫のはわざと焦がして、凛桜のはわざと辛くする事を。

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