No.3「娘たちがいるバー」
先日、女性と戯れたいという欲望に駆られ、秋葉原へと赴いた。
所謂ガールズバー的なのに行きたかったのである。
適当に街を歩き、敢えて客引きしている黒のセーラー服を着た地雷系女子に声をかけられにいった。
40分飲み放題2200円(税抜)+娘に渡すシャンパン代3300円〜(税抜) で6000円弱は確定でかかる。
私は金は天下の回りものという信条の下に快諾し、娘に同行した。
バーまでの道中、紳士である私は相手が如何に若そうでも丁寧語を欠かさない。
店内に入ると、まずは灰皿を要求して煙草をふかす。
私がバーで煙草を吸う様は、我ながら老若男女を悩殺する程度には蠱惑的であったと自負したい。
娘によこすシャンパンはもちろん最安値だ。私はビールが好きなので生ビールとバーでの生涯を育むことにした。紳士の中でもビール厨は存在するのだ。
娘も煙草を吸っていると言っており、煙草の話で盛り上がった、とは言うもののラッキーストライクしか詳しく知らないので華麗にニワカを晒した。娘はいくつか煙草の銘柄を言っていたが忘れた。
煙草に精通しているその娘は、娘と呼ぶには失礼であり恐らく社会人二年目の筆者より歳上で暗黒世界を股にかける女性に思われるかもしれないが、未成年らしい。
自称陰キャで、全日制の高校を中退し、通信制の高校に再入学しているとのことだが、不登校になり、ここで働いているらしい。
しかし、案外このような事情で働いている年端のいかぬ娘が多いらしい。
私は娘の話にすっかり聴き入り、気がつけば滞在時間は三時間は優に超えた。もちろん金は天下に回っていくわけである。消えた金は悔やんでも仕方がない。合計四万五千円也。計算は合っている。途中で何があったかについては想像にお任せしたい。
だが、私は暗黒世界をこの目で垣間見ることができた気がした。
やはり知らない世界を覗き込むことは素晴らしい娯楽である。
閑話
丁度この時期に短編お題「タバコ」「セーラー服」「終わり」が出題されていた。
拙作「禁煙カップル」はこのガールズバーの娘を想起しながら執筆したものである。
既に読んだ方はお気づきかもしれないが、「禁煙カップル」の最後に登場したラッキーストライク、一体誰の所持品なのだろうか。
敢えて言うとこのエッセイにも出ている。
では、仮にチハルの彼氏のものとすればその彼氏のモチーフとは…。
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