第5話 許婚⁈
お互いの意見を尊重してどうにかする方法......あれしかない!! そうとっさに思い付いた意見を口にだす
「こ、ここは一旦保留ってことじゃだめですか? ほら、僕と夏帆はまだ結婚できる年じゃないし......」
「そうじゃな......確かに結婚は早とちりしすぎたかのう?」
「たしかにのう、では一旦は許婚というのはどうじゃ?」
「それは、いいのう、それで行こう」
と二人で納得したように話し合っていた。
一方、颯詩と夏帆の両親は現当主の老人二人に逆らえるわけもなく、ただ、はじで見ているしかなかった。
「はぁ、疲れたな」
「そうですね......」
その後、現当主が舞い上がりその場で高級寿司の出前を頼み、そこで夜ご飯を済ました。
そして家に帰ってきたわけだが夏帆の様子がずっとおかしい。
いつもはもっと大胆なのだが今は比較的控えめだ。まぁ理由は大体想像がつく今日の「私は別に構いせんけど」という一言だろう。実質結婚してくださいと言っているようなもんだもんな。
「それにしても、許婚かぁ......俺たちこれからどうなるんだろうな?」
何気ない一言だが夏帆はまだ引きずっているようで顔を赤らめて少しためらいながら返事をする。
「許婚なんですし、しし将来、けけ結婚するんじゃないですか」
何を思ったのか俺は唐突に夏帆にちょっとしたいたずらを仕掛けたくなり、顔をまだ赤らめている夏帆に聞く。
「結婚かぁ......夏帆は俺と結婚してもいいんだよな? 今日そう言ってたし」
いかにもわざとらしい質問だが、恥ずかしさゆえか夏帆はまんまとつられる。
「う、うるさいです。 あれは忘れてください!」
「えぇあんなに堂々と言ってたのにぃ?」
「だからそのことは忘れてください!」
そう言いながら夏帆はこれ以上何も言わせまいと俺の口を手で押さえようと飛びついてくる。
その力が強かったのか俺の体幹が弱かったのかそのまま押し倒される形となった。
その直後夏帆は何を思ったのか、にぃと笑い俺の両手を抑える。
そして俺の耳元で優しく囁いてくる。
「兄さんって妹相手に押し倒されるほど弱いなんて情けないですね」
っく! これは最近流行ってるヤンデレ彼女のシチュエーションボイス的な展開かよ
そんなことを思いながら焦っている俺を見た夏帆が追撃を加える。
「あんまり調子乗っていると、兄さんのその生意気な唇をふさいじゃいますよ?」
目を合わせ顔を近づけながらそんなことを言われると落ちない男子がいるのか? しかも、学校内でも美人で可愛いと有名な妹属性の夏帆なら尚更だろう。
っう、不覚にもドキッとしてしまった。
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