第44話
王宮に着いたマリーナは、ことの事情をナイトハルトに説明していた。
「ですから、私が一時的に隣国の子爵家を継いで、子爵の立場でワルシャワ領を訪問したいのです。
あの家とワルシャワ領は何か隠している関係があると思います。
私はあの家に仕える戦闘集団がいるなんて聞いたことがありません!」
「そのことなら大丈夫だ。マリーナに元子爵という経歴を付けるために手配していた。
少し予定とは異なる使い方だが、良いだろう。念の為に父上にも話を通しておく。」
「爵位を継ぐのって時間がかかるんですよね?魔法の使用制限解いて、転移して良いですか?」
「使用制限?なんだそれは?」
「街中で使用する魔法の魔力は空間を歪めない程度のものと法律に記載がありましたので。」
「破られた前例がないから失念していた。今から父上、陛下に連絡して、許可をもらおう」
*****
使い物を通して正式に転移の許可をもらったマリーナは急いであの家に向かおうとする。
「待て、私も行くぞ。あと護衛2人もな。」
「ごめんなさい、転移は2人で限界なのです。連れて行けるのは1人だけです。」
「では、私がいく!」
「殿下、なりません。護衛もつけず、隣国に行くなど!」
「そうです、殿下の御身に何かあったらこの国はマリーナ殿を追い詰めますぞ!」
「皆さん、ありがとうございます。私1人で向かいます。
ナイトハルト殿下、以前にお手紙を下さったというカイン殿下に直接お会いできるように、紹介状がわりのお手紙を描いていただけませんか?」
「むう、仕方ない。少し待て、すぐ用意する。」
*****
紹介状代わりの手紙を手にしたマリーナは、早速転移をするために、王宮の庭に向かった。
あの国との距離だったらこのくらいの魔力量でいいかしら。
マリーナの体を纏う魔力がゴゴーと音を立てて見えるかのように高まっていく。
「では行ってきますね!転移!」
マリーナがいた場所は草も雲も全て穴が空いたようにキレイになくなっていた。
「あれが転移魔法か。初めて見たぞ。」
「私もです。人の身で転移ができる者など有史以降聞いたことがありませんぞ!」
「彼女は思っていたよりもはるかに凄い魔法使いなのかもしれないな。」
マリーナが消えた場所を見つめながら、ナイトハルトや側近は呆然として立ち尽くしながらもマリーナの評価を見直したのであった。
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