第421話 亜紀が三國家へ来る その2

「今日も、綺麗な秋晴れだね!」

「兄ちゃん!♪」


 虹心は笑顔で、俺に話し掛ける。

 秋真っ只中の季節で有るが、日中はまだ汗ばむ季節で有る。


 虹心の姿は、何時も通りのパーカー姿で有るが、今日は薄手の長袖パーカーを着ている。

 俺は穏やかな表情で、虹心に話し始める。


「本当……綺麗な青空だな!」

「家で遊ぶより、外で遊んだ方が良い天気だな!!」


「兄ちゃん!」

「伊藤さんと、おうちで遊ぶの楽しみだね!♪」

「私も、伊藤さんとのお話し楽しみ!!♪」


 俺の言葉の後。

 虹心は嬉しそうな表情で俺に言うが、これでは虹心目的で亜紀が来る事に成ってしまう。


 ……実際はそうで有るが。

 俺は虹心と雑談をしながら、亜紀を迎えに駅に向かった。


 ……


 亜紀との待ち合わせは、駅の改札を出たところで決めてある。

 この駅は、他の路線も乗り入れている駅で有るが、改札は一カ所しか無い。


 俺と虹心は通行人の邪魔に成らないように、付近の壁に立って待っている。

 時刻は14時の待ち合わせで有るが、電車の時刻は決まっているため、14時前後に到着する電車で亜紀は来るだろう。


 だが、亜紀の性格上。14時前到着の電車で、亜紀は来ると俺は思うが……

 亜紀は時間にルーズな人間では無いからだ。

 俺はそれを見越して、14時より早く駅へ迎えに来ている。


 ……


 とある電車が駅に到着したらしく、改札から人が出て来るが……この電車は亜紀が乗っている電車では無いので、俺と虹心には関係ない。


(……今日の予定はリビングで、虹心を含めた亜紀との時間を過ごすわけだが、会話だけで終わる感じだな)

(母親と兄はシフト日勤で有るから夕方には帰って来るし、いきなり三國家の晩ご飯に亜紀を誘うのも、亜紀が嫌がるだろう…///)


 俺が心の中で、そんな事を考えていると、虹心が弾んだ声で俺に声を掛けてくる。


「兄ちゃん!」

「伊藤さんが来たよ!♪」


 俺は虹心の声で、考えるのを止めて改札の方へ目を向けると、ちょうど亜紀が改札を抜けるところで有った。


(やっぱり亜紀は、14時前到着の電車で来たな…!)

(んっ……亜紀の後ろに居るのは、桃香ちゃんだよな?)


 今日は亜紀が遊びに来るので有って、亜紀の妹で有る、桃香ちゃんまでは聞いていない。

 俺は不思議そうな表情で亜紀たちの方を見ていると、亜紀は俺と虹心に気付き、こちらに近付きながら穏やかな表情で話し始める。


「……こんにちは」

「武蔵君と虹心ちゃん!」


「こんにちは!」

「三國さん!♪」


 亜紀の言葉の後。桃香ちゃんは笑顔と陽気な口調で、俺と虹心に向けて言う。

 俺は和やかな表情で、亜紀たちに向けて話し始める。


「こんにちは。亜紀と桃香ちゃん!」

「えっと……桃香ちゃんも一緒なんだ…?」


 だが、後半の文章は尋ねる表情で亜紀に聞く。

 すると、亜紀は申し訳なそうな表情に変わって、俺に話し始める。


「……ごめんね。武蔵君(汗)」

「桃香も、武蔵君の家に遊びに行きたいと言い出して…」


「私の両親…。今日は私用で朝から居ないのよ」

「桃香一人で留守番して居るぐらいなら、急に付いて行きたいと駄々をこねて……」

「事後報告に成ってしまったけど、今回は桃香も一緒で///」


「~~~♪」


 と、亜紀は俺に言っているが、桃香ちゃんは笑顔で亜紀の側に居る?

 桃香ちゃんも俺に、会いたかったで良いのだろうか??


 俺が亜紀に返事をする前に、虹心が亜紀たちに向けて、和やかな表情で挨拶を始めた。

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