第400話 武蔵の行方…… その2

 ……


 俺が松田・二村と来た場所は俺が前日、高岡と話しをした場所で有った。


 人通りの少ない場所。

 こう言った、込み入った話しや、内緒話をするには適していた。

 松田では無く、二村が真面目な表情で、俺に話し始める。


「三國君…。さっき言ったけど、再度言うわ」

「亜紀とは、三國君から別れて!」

「私は、三國君と亜紀との関係を認めない!!」


「……二村さん」

「どうして、そんなことを言うのですか?」


「二村さんだって、俺と亜紀を捨てて、松田達の方へ行ったでは無いですか?」

「お互い様では無いですか…?」


 俺は澄ました表情と、落ち着いた口調で二村に言う。

 だが、二村は俺の言葉が気に入らなかったらしく、怒りをあらわにした表情と、ヒステリック口調で俺に言い始めた!


「~~~(怒)」

「最初に裏切ったのは、三國君でしょ!!(怒)」


「私を当て馬にして、亜紀に近付き、亜紀を誘惑して、私を追い込んだのは三國君でしょうが!!(怒)」


「……」


わめくなよ。二村…)

(一人で勝手に切れて、俺と亜紀の縁を勝手に切ったのはお前だろうが!)


 思わず心の中で感じるが、俺は二村には言わない。

 そんなことを言っても、状況が悪化するだけで有る。


「……(怒)」


 すると、松田が行き成り俺に近付き、俺を突き飛ばすように、両手で俺の肩を強く押して来た!

 二村の言葉で、松田は応戦しやがった!!


『ドン!』


「!?」


「うあぁ~~!」


 松田からの不意打ちを喰らってしまったので、俺はそのまま後ろに倒れ込む。


『ズドン!!』


 頭からでは無く、尻餅をつくように俺は倒れ込むが、地面は固い材質なのでダメージはそれ相応に喰らう。


「……おい! 武蔵!!(怒)」

「舐めたこと言ってんじゃねえよ!!(怒)」


「素直に、彩織の言うこと聞けよ!」

「それともなんだ。痛い目合わさないと、分からないのか!?」


 松田は尻餅をついている俺を、見下しながら喧嘩口調の早口で言ってくれる!!

 威勢だけは半グレ並みに良い。

 二村が側に居るから、松田はその分張り切っているのだろう。


「!!!///」


『ダダッ……』


 俺が松田に攻撃された場面を偶然良く、通り掛かった女子生徒が見ていたがが、直ぐに逃げるように去ってしまう……

 松田にとっては都合が悪いが、俺にとっては不幸中の幸いで有る。


(クソ! 油断していた!!///)

(だが運良く、俺が攻撃された場面を見てくれた人が居るから、もしかしたら助けが期待出来るかも知れない)


 俺は思わずそう感じるが、前回のように虹心は来ないだろうし、岡谷君も支援拒否をしたから、岡谷君が来る可能性も無いだろう。

 期待をすれば、あの女子生徒が教員を呼んで来てくれるのを、期待するしか無い。


 俺は尻をさすりながら、立ち上がろうとするが、俺の右足を松田では無く、二村が踏みつけてきた!


『バン!』


「うっ…!」


 俺たちが履いている上履きは、柔らかい素材の上履きだから激しい痛みは感じないが、これでは立ち上がることが出来ない。

 二村は俺の右足を踏みつけながら、怒りの形相で、俺に言い放つように言う。


「……あなたが、亜紀と別れないと言うなら、私は武と手を組んで、あなたを追い込むしか無いね!」

「あなたが、亜紀と別れるまで!!」


「!」


(やはり……このような展開に成るか!)


 でも、それを素直に受け入れるわけには行かない。

 初めて出来た彼女を、こんな阿呆らしいことで捨てたくは無い!!

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