第364話 突如始まる進路相談? その1

「……俺は、構わないよ…!」

「繁華街で特に今日、買わないといけない物は無いから…」


 俺は迷った表情で、伊藤さんに言う。

 伊藤さんは困った微笑み表情で、俺に言い始める。


「ありがとう……三國君!」

「桃香の我が儘+私の要望まで聞いて貰ってしまって…」


(自分の意見が通ったのに、笑顔では言わないのだ……伊藤さん)

(素直に喜べば良いの…///)


「陽葵さん……三國君から、了解を貰えました」

「ですから、参考書の相談、お願い出来ますか?」


 伊藤さんは尋ねる表情で、陽葵先輩に話し掛ける。

 ホットコーヒーに口を付けていた陽葵先輩は、コーヒーカップをテーブルに置いてから、穏やかな表情で伊藤さんに話し始める。


「良いわよ。亜紀ちゃん!」

「三國君が良いと言ったら、問題無い!!」

「なら、ランチタイム後は本屋さんに向かいましょう!!」


「……ありがとうございます。陽葵さん…///」


「桃香……この後は、駅前の本屋で決まりよ!」


「うん。分かった。お姉ちゃん!!」


 伊藤さんは微笑みながら陽葵先輩に言った後。桃香ちゃんには澄ました表情で言うが『駅前の本屋』と、場所まで指定してしまう!!

 桃香ちゃんも、それを素直な表情で伊藤さんに返事をしている。


 主導権が陽葵先輩から、伊藤さんへ何時の間にか移っていた!!


(俺は完全に蚊帳の外だな…///)

(駅前の本屋か……きっと、名美崎なみさき駅の事を言っているのだよな!)


 俺はそう思いながら、アイスコーヒーを飲む。

 この付近には、漫画単行本やイラスト集を買える本屋は有るが、流石に参考書は売っていない


 伊藤さんが乱入してから、踏んだり蹴ったりの、陽葵先輩とのデートに成ってしまった。


「最近……亜紀ちゃんとは進路のことを話していなかったけど、あれからの進路変更は無いよね?」


 陽葵先輩が穏やかな表情で、伊藤さんに話し掛ける。

 陽葵先輩は今年受験生で有るし、俺と伊藤さんも来年は受験生で有る。


 仲が良い二人は、進路相談もしていた様で有る。

 伊藤さんは穏やかな表情で、陽葵先輩に言い始める。


「はい。陽葵さん…!」

「私の第一志望はずっと、名大なだいのままです!!」←名大……名美崎大学のこと


(伊藤さんは名大か……流石だな。特進コース!)

(特進コース生が、偏差値50前後の大学を選ぶわけ無いよな!!)


 この県及び、この地域で一番上位大学に成る……名大。

 名大は国公立大学で有るし、東大ひがしだい京大けいだいに匹敵する大学で有る。


「だよね!」

「亜紀ちゃんは、名大一押しだもんね!!♪」


 陽葵先輩は和やかな表情で、伊藤さんに言っている。

 陽葵先輩の中でも、伊藤さんの学力なら“名大”に合格出来ると踏んでいるのだろう。


「私も、名大を目指して頑張っているけど、私や亜紀ちゃんも合格出来ると良いね♪」


「!!!」


 陽葵先輩が和やかな表情で、伊藤さんに言っている中。俺は凄いことを聞いてしまう!

 学園一の美少女が、名大を目指しているとは……本当、才子に恵まれているな!!///


 だが、普通コースの陽葵先輩が、名大を目指すのは無謀過ぎないかと、俺は感じてしまう。

 普通コースの偏差値は特進コースと比較すると、大幅に低いからで有る。


 これは、葉月学園理事長の『来る者は拒まず』から来ているが、これの所為で葉月学園高等部、普通コースの偏差値は、思いっ切り足を引っ張っている!!///

 DQN達が私立学園で有るから、いとも簡単に入学出来てしまう!!


「えっ!?」

「陽葵先輩って……普通コースでしたよね?」


 俺は驚きながら、陽葵先輩に尋ねる。

 けど、陽葵先輩は和やかな表情で、俺からの問いに答え始める。


「そうだよ。三國君!♪」

「私は、普通コース生だよ!!♪」


「……」


 あっけらかんと、陽葵先輩は言うので俺は言葉を失う。

 特進コースは上位大学を目指した教育(授業)をしているが、普通コースは一般的な教育しかしていないからで有る。


 陽葵先輩は凄い、努力家の持ち主なのだろうか??

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