第178話 区切り その1

(覚悟はしていたが、やはり小鞠ちゃんはクラブの男子を選ぶか……)

(俺にはそれを止める権限は無いし、伊藤さんや二村さんを失ったからと言って、虫の良いことも言えない…)


 小鞠ちゃんの覚悟を決めた言葉で、俺はどう対応すれば良いのだろうか?

 そのままそれを祝福するべきか、それとも罵詈雑言を言うべきか!?


「……小鞠ちゃんは、それで良いの?」


「えっ!?//////」

「今更、何を言うのですか!?//////」

「武蔵さん!!//////」


 俺は少し心配する表情で言うが、その言葉を著しく驚きながら言う小鞠ちゃん。

 俺はその表情で言葉を続ける。


「……俺は本当に、小鞠ちゃんに悪いことをしたと思っている///」

「虫が良すぎる話しでは無いが……俺と小鞠ちゃん。もう一度やり直さないか!///」


「!!//////」

「ふっ、ふざけないでください!!//////」

「あっ、余り……阿呆なこと言っていますとわめきますよ!!//////」


 小鞠ちゃんは俺に向けて、憤慨しながら言う!

 俺も、こんな言葉を言うつもりは全く無かったのだが、知らないうちに本能で喋っていた!?


(うぁ!)

(俺は何を言っているのだ!?)

(『親友からの』言葉を付けずに言ってしまったから、そう受け止めるわな!!///(大汗))


「ちっ。違うよ! 小鞠ちゃん!!//////(汗)」

「そう言った意味では無く、親友として、やり直さないかの意味!//////」


 俺は頬を染めて、焦った表情で言う。

 だが、小鞠ちゃんは怒った表情を崩さない!?


「……今の状態では、親友としても関係を持ちたくは有りません!!///」

「武蔵さんが此処まで、節操が無い人は思いませんでした!!」


「だけど……虹心ちゃんがいる手前、絶交の関係は終わりにします!!」

「しかし、私は今の武蔵さんでは……親友としても、関係を深めたくは有りません!!」


「!!!///」


 小鞠ちゃんは怒った表情かつ、最後の文章は力強い口調も加えて俺に言い放つ!?

 こんな小鞠ちゃん…。俺は初めて見たぞ!!

 あの小動物のような小鞠ちゃんは、何処に行ってしまった!!


(小鞠ちゃんと親友関係には戻れなくても、絶交関係が解除されれば、僅かだが道が開ける…!)

(本来はもう少し、先望みをしたいがそうは言ってられない!///)


 俺は心の中でそう思いながら、申し訳ない表情で小鞠ちゃんに言い始める。


「絶交の関係を終わりにしてくれるだけでも、俺は嬉しいよ…!」

「ありがとう…。小鞠ちゃん!///」


「!!///」


 俺の言葉で、びっくりする表情を見せる小鞠ちゃん?

 予想の言葉と違っていたのだろうか?

 小鞠ちゃんは困った表情で言い始める。


「もっ、もう……仕方ない人ですね…!」

「もっと、反論をするかと思っていましたが、素直に受け入れましたか…!」


「……言った手前。絶交の関係は終わりにします…!」

「けど、私は以前のように……武蔵さんとは関係を深めません!!」


 関係を深めない宣言を改めてする、小鞠ちゃん……

 だが、小鞠ちゃんの表情は、少し無理をしている感じがした?


「……俺も、小鞠ちゃんにあんな事を言ってしまったし、小鞠ちゃんを傷つけてしまった///」

「俺と小鞠ちゃんの関係が悪いと、虹心も心配するだろうし、絶交関係を終わりにしてくれて、ありがとう…」


 俺は困った微笑みの表情で、小鞠ちゃんに言う。

 俺の言葉の後。小鞠ちゃんは眉をひそめながら言い始める。


「……そうです!」

「武蔵さんと少し関係を戻すのは、武蔵さんを許した訳では無く、虹心ちゃんの為でも有ります!!」


「特に今日は、虹心ちゃんの家に遊びに来ていますし、お泊まりもして行きます!!」

「虹心ちゃんの家族にご迷惑を掛けないように、私は……武蔵さんと本当に少しだけ仲直りをします!!


「…………」


 理想通りの仲直りは成らなかったが、小鞠ちゃんとの絶交関係は終わらせることが出来た!

 だが、以前のように親しく関係は求めないそうだし、それ以上の関係も深めたくは無いらしい。


 本当に……最低限の仲直りで有った。

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