第155話 悪手
「武蔵さんが考えを改めるまでは、私は武蔵さんとは関わりを持ちません!!」
「さようなら!!」
『ダッ!』
小鞠ちゃんは俺を睨み付けながら、強い口調で言い放つと、走って俺の元から去って行く……
何処かのドラマのように涙を流して去って行くのでは無く、捨て台詞を吐いて去って行った方が、言葉的には相応しいだろう……
「あっ、小鞠ちゃん!!//////」
俺は頬を染めて焦った声で声を掛けるが、小鞠ちゃんは振り向くこと無くそのまま行ってしまう。完全な
将棋に例えれば……何に成るのだろうか?
(これが青春ドラマなら、俺は小鞠ちゃんを追い掛けなければ成らないが、もうすぐ予鈴が鳴るし、高等部の俺が中等部の校舎に入って、小鞠ちゃんを追い掛けるのも非常に不味い!?///)
そんな事をしたら、虹心の耳に絶対入るだろうし、それを教員達に見られたら自体が大事に成ってしまう!!
高等部の生徒が中等部の生徒を追い掛けるなんて、只の間抜けがすることで有る。
(今はとにかく、教室に戻ろう…)
(小鞠ちゃんには申し訳ないが、俺は伊藤さんと小鞠ちゃん。どちらを選ぶかと言えば伊藤さんを選ぶ……)
(けど、これで小鞠ちゃんが俺のことを諦めてくれれば、それで良いのだがな……)
園芸クラブ圃場を後にして、俺は教室に戻った。
今後の行方は実質、伊藤さんが握っている。
伊藤さんは、俺を選んでくれるのだろうか……
☆
その日の夜……
何時も通り家族と晩ご飯を楽しみ、夜の団らんも過ごして入浴も済ませ、俺は今自室で寛いでいる。
小鞠ちゃんは虹心に連絡を入れた物だと思っていたが、連絡は入れていないらしく、小鞠ちゃんから絶交宣言されたことを、虹心は一言も聞いてこなかった。
俺がそのことを虹心に報告しても良いが、それをしてしまうと、虹心に余計な心配をかけさせてしまう。
それに、小鞠ちゃんがこのまま諦めてくれれば良いと感じていたから、この問題を特に対応する気は無かった……
(虹心も部屋に来る気配は無いし、小鞠ちゃんからも連絡は来ない!)
(……伊藤さんから、連絡が来ないのも悲しいが(汗))
俺は伊藤さんに、小鞠ちゃんから絶交宣言されたことを、報告するべきか迷っていたが、それをすると俺が小鞠ちゃんに、興味を持っていたことに成ってしまう!!///
(伊藤さんも用心深いし、神経質な所が有るから、連絡はしない方が良いよな……)
(後は何時……伊藤さんが、答えを出してくれるかだ!)
俺はそんな事を思いながら、自室でその夜を過ごした……
☆
しばらく時が過ぎて……
今日から、学期末試験が始まる。
今回の学期末試験は週をまたぐので、土日を挟んで、来週前半まで学期末試験が続く。
その為、試験も前半・後半と成るので、普段の試験より楽な勉強スケジュールが立てられる!?
そして……俺は今、小鞠ちゃんとは絶交中で有るが、今週末に虹心との勉強会とお泊まり会も兼ねて、三國家に遊び兼泊まりに来るそうだ……
虹心と小鞠ちゃんの関係は断ち切られて無さそうだが、小鞠ちゃんはそのことを虹心に言っていない感じで有る。
俺にとっては、居心地の悪そうな週末に成りそうだ……
俺と二村さんの関係は、完全に断絶してしまって、二村さんは松田達のグループに溶け込んでしまった。
古賀も二村さんを認めたのかどうかは分からないが、普通に接しており、苛めの指図をDQN女子達に出す気配は無い……
伊藤さんの予想が、完全外れてしまった!///
もう、二村さんは俺に声を掛けてくることは、最低限の用事以外ないだろう。
肝心の、伊藤さんからの返事もまだで有り、俺はそれを“やきもき”しながら過ごしている。
とある日。俺は探りを入れる為にキャリアメールで伊藤さんに連絡をしたら『私が答えを出すまでは、不要不急の連絡はしないで!』と、簡潔な返信メッセージが返ってくる始末で有る!!
『不要不急』ってなんだよ。
俺と伊藤さんは、大親友の関係なんだろう!?
俺の存在はそんなレベルかよ!??
こんな状況では今回の学期末試験成績は、やる前から絶望的だな……
まだ、二年生で良かった……
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