第152話 ランチタイムデート!? その2

 楽しいランチタイムデートと……言うレベルには程遠いが、時々雑談をしながら、俺は伊藤さんと昼食を食べる。


 だけど、メインは俺が聞くより、伊藤さんからの質問が多い。

 それに時々、伊藤さんは俺を観察するように見ている時が有る?

 俺は家族構成や妹(虹心)との関係を話しながら、伊藤さんと昼食を食べる。


 ……


『ごちそうさまでした!』


 ほぼ同時に、俺と伊藤さんは昼食を終える?

 俺の今日の昼食は、焼きそばパンとチョココロネパンで有り、どちらかと言えば食べやすいパンで有る。


 それなのに、伊藤さんは俺が食べ終わるタイミングで、食事を終えてしまう!?

 女性って……もっと、ゆっくり食べる物では無いの!??


 けど、伊藤さんは澄ました表情で、お弁当箱を手提げ袋にしまい、ミニ水筒に入っているお茶を飲んでいる。

 お茶を飲み終えると伊藤さんは、澄ました表情で俺に話し始める。


「さて!」

「食事も終わったし、此処からが本題だけど……今日何故、武蔵君を誘ったか分かる?」


「えっ…!?」

「俺と仲良くしたいからで無いのですか。伊藤さん!?」


 俺は驚いた表情で、伊藤さんに答える。

 普通はそれしか、考えられない筈だが……


「うーん……。半分正解かな?」


 しかし、伊藤さんは澄ました表情で言う!?

 じゃあ、後の半分は何なんだろうか??

 伊藤さんは、その表情で言葉を続ける。


「私はね……本当に悩んでいるのだ!」

「武蔵君との今後の関係と、彩織との関係も……」


「この場所なら、さっきも言ったように高等部の人達は先ず来ないし、何か有れば中等部の職員室に駆け込めば良い!」

「私は……素の武蔵君を見たいが為に、昼食に急遽誘った!」


「素の俺ですか……」


 俺は“きょとん”した表情で言うと、伊藤さんは真剣な表情に成って言い始める。


「そう!」

「武蔵君は……私の事をかなり調べているだろうけど、私は武蔵君のことを殆ど知らない!!」


「私が武蔵君を初めて知ったのは、彩織と一緒に行ったプリンモールからだからね!!」

「今までは……武蔵君から相談を受けたり、彩織の対応・対策で会話をしていたけど、あくまでも彩織がメインで有って、私では無い」


「けど、今は彩織から、私がメインに成ってしまっている///」

「私は武蔵君を親友として見ているが、その先のことも見なければ成らない……」

「私なりに、普段の武蔵君姿を見ようと思ってね……」


 伊藤さんは最後、目を細めながら落ち着いた口調で言う……

 俺はこのランチタイムデート中に、伊藤さんから品定めをされていたのか!?


「武蔵君は、約束事や時間も守れるようだし、相手を気遣った行動や言葉も掛けられる……」

「真面目の要素が強い人……私も、真面目な人は好きだからね!」


 俺を褒めている言葉の割に、伊藤さんは表情を曇らせながら言う!?

 やはり俺には、伊藤さんを完全に振り向かせる決定打は無いのか……


「……私ばかりが話してしまっているけど、武蔵君から質問は有る?」

「特に無ければ……お開きにしようかなと…」


 伊藤さんは澄ました表情で言うが、まだ昼休憩の時間は、約20分も残っている!?

 伊藤さんは俺を知ることが出来たから、それで良いかも知れないが、これでは俺は本当に、品定めをされる為に誘いへ乗ったような者だ!!


「質問ですか……うーん」


 伊藤さんの趣味や興味などを聞いて見たい気は有るが、あんな風に言われてしまうと、何だか聞く気が失せてしまう……

 俺みたいな底辺が、学年一位・二位を争う美少女と、ランチタイムデートを出来たのだから、甘酸っぱい思い出で本来は終わるはずで有ろう!?

 せめて、何か一つぐらい質問をしなければ……


「あっ、一つ良いですか……伊藤さん!」

「伊藤さんのお弁当は、伊藤さんのお母さんが作っているのですか?」


「???」

「武蔵君は、そんな事を知りたいの??」

「もっと、他に聞くべき物が有るでしょう??」


 伊藤さんは、少し驚いた表情で言う。

 きっと伊藤さんの中でも趣味や興味、家族詳細などを聞いて来るのだと思っていたのだろう。


 俺は伊藤さんが好きだが、“品定め”をされていた事に気付いてしまうと、普通の質問をしても詰まらないと思ったからだ。

 どう答えるも何も、分かり切った答えが返って来るだろうけど……

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