第108話 二回目の相談 その1
カモフラージュも無事に完了して、早速話し合いが始まる。
言葉を切り出したのは、伊藤さんからで有った。
「さて……何処から話そうね…?」
伊藤さんは澄ました表情で俺に言う。
俺は落ち着いた口調で、伊藤さんに話し始める。
「何処からと言うべきか……お互いが二村さんと、縁が切れ掛けていますよね!」
「三國君……」
「切れ掛けているの言葉より『切れた!』の方が相応しいと思うわ!」
伊藤さんは澄ました表情だが、はっきりしとした口調で言う。
本当にそれで良いの!?
「二村さん……。過去の苛めを俺が知っただけで、あんなに怒る事は無いのに…」
俺が愚痴を言う表情で、伊藤さんに言うが……
「えっ!?」
「三國君!! 本当にそう思っているの!?」
伊藤さんが、仰天しながら言う!!
だけど、俺は落ち着いた口調で言葉を続ける。
「けど……それしか無いですよね。伊藤さん…」
「それ以外に……二村さんが怒る要素が無いと言うか?」
「…………」
伊藤さんは呆れ返った表情で、俺を見つめていた!?
その表情で、俺に向けて言い始める。
「……彩織がそんな事で、怒ると本当に思っているの。三國君は…!」
「えっ……」
「でも、それ以外に何か有りますか…?」
すると伊藤さんは『やれやれ』の表情で言い始めた!
「……三國君って、今まで彼女は……居ないよね!」
「だからこそ、学年中の女子たちに声を掛けていたからね!!」
「良い! 三國君!!」
「彩織が怒っている理由は、三國君が彩織を当て馬にして、私たちが逢い引きしていると感じたからだよ!!」
「逢い引き!??」
「どうして二村さんは、そんな壮絶な勘違いをしてしまったのですか!」
俺は伊藤さんの言葉で、思わず驚いた大声を出してしまう!
伊藤さんは直ぐに、
おまけにジェスチャー付きだ!!
「シーー。声が大きい…。三國君…」
「あっ、すいません…。伊藤さん…」
俺は小声で伊藤さんに謝ると……伊藤さんは澄ました表情だが、やや強気の口調で言い始めた。
「昨日…。三國君が余計な事を言ったよね!」
「『私から勉強を教えて貰った』と……あれが、彩織の中では、絶対許せないらしいのよ!!」
「勉強が出来る人から、勉強を教えて貰うのは普通で無いですか?」
「伊藤さん……」
俺は落ち着いた口調で言うが、伊藤さんは先ほどの表情と口調で言葉を続ける。
「三國君……。それは複数の人と勉強をすればね!」
「だけど……昨日は、三國君と二人きりだった」
「彩織にも、この部屋で勉強を教えた事が有るから、彩織も知っているけど、この部屋は通報装置は有っても、流石に監視カメラまでは無い!」
「教員の目を上手に盗めば、キスどころか簡単に性行為まで出来る」
「三國君。昨日言ったよね…」
「普通コースの生徒カップルが、無断で入ったことが有ると……」
「言ってましたね…。伊藤さん」
「教員の見回りは不規則だから、全然しない時も有れば、ちょくちょくする時も有る」
「本当にその日の、担当教員次第!」
「特に私ぐらいの成績優秀に成ってくると、教員も安心して見回りをしない時も有る」
「私は身の潔白を彩織に言ったけど、彩織は信用しなかった……」
『亜紀も、三國君が好きだったんだね!』
『私の相談を何で、密室の自習室でするのよ!!』
『普通に空き教室で、すれば良かったじゃ無い!!』
『三國君が襲ってくるリスクを、亜紀は考えなかったの!!』
「と、彩織に怒り顔で散々言われたわ……」
「確かに彩織の言う通り。三國君が私に好意を感じて居るのに気付いていたのに、盗み聞きをされるのを恐れて、この部屋で行ってしまった…」
「二村さんが怒っている理由は、過去の苛め話では無く、伊藤さんと密会をしていた事か」
二村さんが俺や伊藤さんに、怒っている理由を知ることが出来たが、問題はこの先をどうするかだ……
二村さんとの関係修復を目指すか、それとも伊藤さんに乗り換えるかの……
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