第62話 表面上は仲良く!? その2

 葉月学園は、学園内敷地で『高等部』・『中等部』と分けられているので、正門までは一緒に通学出来る。

 その為、年の差カップルでも通学デートが、葉月学園の場合は楽しめる!?

 小鞠ちゃんは俺と虹心の姿を見ながら、少々驚いた表情で虹心に話し掛ける。


「……虹心ちゃんと武蔵さんが、一緒に通学するのは初めて見ました!///」


「そうなんだよ!♪」

「入園時は、兄ちゃんよりお兄ちゃんに意識が向いていたし、途中から毛嫌いしていたしね!♪」

「今日が、兄ちゃんとの初通学だよ♪」


 嬉しそうな表情で虹心は、小鞠ちゃんに話している。

 俺にとっては、半分ありがた迷惑なんだが……


「帰りも一緒に帰ると良いね、兄ちゃん♪」


「……帰りは終業時間が違うから元から無理だし、それにそんなに俺と居ると、ブラコン扱いされるぞ。虹心!」


 笑顔で言う虹心に対して、呆れと注意する口調を使い分けて俺は話す。


「別にされても良いよ!」

「私は兄ちゃんが好きだし!!」


 悪そびれなく言う虹心……

 俺は嫌みの口調で虹心に言う。


「全く…。俺を好きに成るより、同級生と付き合ってやれよ!」


「……同級生ね!」

「ねぇ。小鞠ちゃんのクラス周りで、兄ちゃんみたいな人居る?」


 虹心は少しだけ驚いた表情を見せるが、直ぐにワザとらしい表情で言い始める上、小鞠ちゃんにも話しを振る。


「虹心ちゃん!!///」

「武蔵さん見たいな人が居れば、私が既にアタックしています!!//////」


 何故か頬を染めて、力強く言う小鞠ちゃん!?

 それを見て、嬉しそうな笑顔で言う虹心!!


「あぁ~~。そうだよね!♪」

「私たちの学年に、兄ちゃん見たいな人は居ないね!!」

「これは残念だ! 兄ちゃんで我慢するしか無い!!」


 最後の文章は、本当にワザとらしく言う虹心。

 虹心は俺の事が、本当に好きなのか!?


 ☆


 俺たちは徒歩通学なので、十数分で学園の正門が見えてくる。

 三人横並びは流石に出来ないので、俺が前に出て、虹心と小鞠ちゃんは後ろを歩いている。

 この、やかましい妹連中らの通学時間も、あと少しで有る。


「あの…///」

「武蔵さん…//////」


 葉月学園正門の直前……

 小鞠ちゃんが頬を少し染めながら、遠慮気味の表情で俺に声を掛けてくる。

 俺は、それを気なしに返事をする。


「…どうした。小鞠ちゃん?」


「私……頑張りますから!///」


 優しい笑顔で、小鞠ちゃんは俺に言う!


(……俺に好かれる努力は嬉しいが、期待を持たれてもな…)


 俺は昨日。母親に言われたことを、小鞠ちゃんに言おうかと考えたが、これは俺と母親の問題なので、心の中で留める事にする。


「……気持ちだけは、受け取るよ!」

「けど…期待はしないでね!!」


 俺は優しい表情で小鞠ちゃんに言う。俺は決して、小鞠ちゃんが嫌いでは無い!!

 只、二兎を追い掛けたくは無いからだ。


「はい!///」

「時間を掛けて、武蔵さんと成就させます♪//////」


「!!//////」


 今まで見たこと無い…。頬を染めたとびきり笑顔の小鞠ちゃん!!


(初めて見る…。小鞠ちゃんの、異性を求めている笑顔!//////)

(この笑顔を見ると……冗談抜きで、小鞠ちゃんを意識してしまいそうだ!?///)


「おや~~! 兄ちゃん!!」

「二村さんと言う割には、小鞠ちゃんを求めている表情をしているよ♪」

「これは、直ぐに落ちそうだね。きゃはは~~♪」


 それを見ていた虹心は、笑顔で笑いながら、俺をからかってきた!?


「虹心!///」

「兄をからかうな!///」


 俺は頬を染めながら、虹心に文句を言うが、虹心は嬉しそうな笑顔で小鞠ちゃんに声を掛ける。


「小鞠ちゃん。兄ちゃんは色気に弱いよ!」


「ですね。虹心ちゃん!!」


 それを、嬉しそうな表情で言う小鞠ちゃん!


「その意気だよ。小鞠ちゃん!!」


「はい。虹心ちゃん!!///」

「私、頑張ります!!♪」


 小鞠ちゃんは満面な笑顔で、俺に向けて宣言した……俺を振り向かせてみると……


 ☆


 当初の目的とは大分違ってしまったが、二人の妹(虹心・小鞠)と関係が築けてしまった。

 この二人との“いちゃいちゃ”も悪くは無いが、俺のモテ期が終わらない内に、本来の目標で有る、二村さんと関係を深めたいと俺は感じていた……

 出来れば、同級生の伊藤さんや陽葵ひまり先輩とも!?


 ……


 ☆俺のモテない学園生活を妹と変えていく!? ―妹との二人三脚で俺はリア充になる!―☆


【第1章 妹の幼なじみ】


 ☆おわり☆


【第2章 学年一の美少女を巡る戦い】


 へつづく……

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