婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます

黒月白華

第1話

侯爵家令嬢の私…イサベル・マリア・キルシュは昔からの親同士の決めた会ったこともない婚約者ニルス・ダーヴィト・シャーヴァン公爵令息様と

16歳の学園入学の際にラーデマッハ学園で初めてお会いすることになる。


ニルス様は生徒会の一員であり、大変容姿も優れている。容姿は姿絵で見たことがあった。でもあの時はまだ子供の頃の絵だから正直よくわからないがかなり美少年だった。

金髪に碧の瞳を持ち…この国フォルクアの王族の従兄弟にあたるから王子とは兄弟のような近しい関係らしかった。


成長したら女の人にはモテそうな生真面目そうな印象で、実際モテていると聞く。私はやりたい研究が有り夜会に出なかったから社交界に疎い。あまり人の多いところが苦手で呼吸困難を起こす持病があるからだ。


研究とは…透明になれる薬だ。魔法が特化した国の為、私の先祖は戦争時代多いに貢献した黒魔女の家系で有り、怪しい黒魔術の古い本はたくさん書庫にあった。

幼い私は其れ等を絵本代わりに読み、侍女を困らせた。


元々人見知りだし友達は一人しかいない。

お母様の友達の娘で商家の三女であるハイデマリー・ロデリードだ。茶髪にそばかすの入った顔にメガネをかけポニーテールをしていて胸が大きい!


私は銀髪で髪は三つ編みで後ろに結っている。侍女のサラ・シュルツェ・ポップにはもっと伸ばせば男性からモテると聞いているが別にモテようとも思っていない。


瞳は蒼い。

サラは髪を整えてくれながら


「本日からようやくご入学ですね、お嬢様!やっと人前にお出になられるなんてサラは嬉しくて!」


「……私は嫌だな。大勢の人がうじゃうじゃいる所にいたらきっと気分が悪くなる…」


「気の持ちようですよ!お嬢様!!貴方はお美しいのですからきっと話題になり、婚約者様もイサベル様を見たらきっと一目惚れなさるでしょう!」

とサラの方が自信満々だ。


「…でも…今まで会ったこともないし…向こうも別に会おうとしなかったし私には興味無いと思うわよ?」


「…お嬢様はどうしてそうなのですか?年頃の女性は恋愛や結婚について熱くなる時期なのに!」


「私はいいわ。興味無いの…。はぁ…学園が始まるまでに透明薬を完成させこの世から消えて無くなりたかったわ…」

と言うとサラは怒る。


「そんな出来もしない研究ばかりして引きこもって!!お嬢様は世間を知るべきですわ!侯爵家の令嬢なのですからね!ご長女のカミラ様を見習ってくださいませ!」

と姉さんのことを言われる。

うちの姉は美しく同じ銀髪と蒼の瞳を持っているが私と違いかなり積極的な性格で外へバンバンと出て旅行やら事業やらいろいろ派手な夜会にも出席していた。学園は去年卒業して婚約者の方と結婚間近だ。


「カミラ姉様と比べないで…。私は消えてひっそりと身を隠し生きていければいいの。人にあまりジロジロと見られたく無いわ。そういう人だっているでしょう?」

と言うとサラはため息を吐き


「馬車が着ておりますから!早く支度なさって観念して学園へ行ってニルス様にお会いしてきちんと挨拶するのですよ!」

と言われた。

ニルス様は一つ学年が上だから私より一年先輩にあたる。


「憂鬱だわ」

向こうも私に興味ないし引きこもりの研究女だと思っているだろう……。


そうだ…学園に入学したら…薬草学部に入って放課後はひっそりとしてよう。

と決めた。挨拶はささっと終わらせよう。

そう考えて馬車に乗り込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る