第32話「刃物」

ジーンズに赤いブーツを履き

 赤と黒の革ジャン

 赤いバンダナにサングラス


 見慣れた姿だったが

 やっぱり切れた聖川は

 まとったオーラが違う

 負ける気がしなかった


 聖川が

 『殺すぞこのやろう』

 とワントーン以上

 下がった切れた声だ


 相手が向かって来るが

 避けるそぶりもない

 自分の頬を相手の拳に当て

 殴られながら拳を潰しにかかった

 "ゴリッ"音がして

 そのまま相手の顔面に

 パンチを入れ

 その後背負い投げで

 相手を宙に浮かし

 叩き付けた"ドッ"鈍い音がし

 そのまま鉄板入りブーツで

 3、4発蹴り上げ

 馬乗りになり

 殴り続けた


 聖川が

『続けるか?終わりか?

 俺の仲間はこれじゃ、

 終わらねーぞ』


 と言った

 

 コンクリに思いっ切り

 投げられた人は分かるが

 当たりどころによるが

 普通は動けるわけがない

 しかも喧嘩中に来ると思わず

 無防備状態だ

 動けるなら

 それはもう気持ちだ


 相手はもう息をする事で

 全力を尽くしている

 

 聖川が

 『倒れたヤツの襟首を掴み

 お前2度と俺の仲間に

 弱いとか言うなよ、終わりだ』

 

 と蹴りを横っ腹に入れ

 戻って来る


 メンバー全員が今までの分

 騒ぎ出す

 [わー聖川ー、最強だー

 なめんなよてめーらー]


 聖川は戻って来ると

 全員にハイタッチをした


 控えてる皆んなが

 『さすが!!やっぱ喧嘩屋だな!

  やっぱお前と喧嘩したくねーな』


など声をかける

 聖川はいつものトーンで

『後は任せたぞー』


 俺は

 『もっとやれたろ?

 優しい事ですなあ』

聖川は

 『あれ以上やっても

 痛みつけるだけだからな』

『そのブレーキがかかるの

 がいいとこだよな』

と笑い合った


 バッキーが後ろから

 『聖川、本当にすまない、ありがとう』

 

 と目を真っ赤にしているので

 聖川は

 『仲間だろ』


 と言い、

 笑ってバッキーの胸をたたいた

 

 『5人目』


 勇が立った

 [相手側は薪ヶ丘の頭だ

  あれが真人の相棒か]

とざわついた


 相手は四天王の柳だ

 モヒカン頭がにやついている

 

 勇はボクシングを習っているので

 シャドウボクシングをしている


 相手のヤツが

 『お前が薪ヶ丘の頭か』

 勇が

 『お前は脇役か?』


と言った瞬間


 勇の脇腹にナイフが刺さっている

 『痛えなぁてめぇ』

と1発パンチを入れたが

 相手は闇雲にナイフを

 振り回して

 足に切り付けた

 

『勝ちゃいいんだよ、

 1年相手になんで真面目に

 殴り合いしてんだよ』


と言った


 勇は脇腹を庇い、

 足も使えないが、振り回した

 ナイフを叩き落とした

 そのままパンチを2発顔面に入れ

 た所で

 

 柳は

 傷口の足を蹴り上げようと

 したが

 真人がすでに

 走り込んでいた

 

 真人は

 相手を思いっ切り殴った


 柳は

 『おい、タイマンの邪魔すんなよ』


  と言い


 周りも

 [5人目は負けだータイマンの邪魔をした]

と相手側がさけんでいる

 

光ちんが

 『こっちの負けでいい

 これからのお前達の怪我が

 増えるだけだ』

龍善も

 『小せえナイフでいきがってんな』

俺は

『お前ら負けたら参加に入ったら

 地獄みせてやるからな

 分かってやってんだろうな』


 前川も

 『うちのシゴキはハンパじゃねーからよ』

 

 こちら側は激怒している

 全員が頭と三鬼龍を背負う立場だ

 

 見ている帝南のメンバーや

 浦学のメンバーでも

 

 シーン…と静まり返った

 

 下を向く者、これからを想像して

 相手の行く先が分かる者それぞれだ


幸い勇の怪我は脇腹の

 内臓も骨も当たっていなかった


 病院に行けと言ったが

 

 消毒をして医療用ホチキス

 で止めガーゼで応急処置

 でいいと勇が言うので

 最後までいさせる事にした


 豊が

『こうゆう無茶苦茶な

 とこが薪ヶ丘らしいよな』

 涼も

 『病院いけ』

 と言ったが


 勇は

 『悪いな、喧嘩も任せちまって

 でも最後までみてーんだ』


と言った

 俺は勇に

 『全員ぶっ飛ばしたら

 アイツは必ずやってやるから休んでろ』

 と言った

 

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