第15話 ディスペア流
あれからどれだけ死んだのか。
ネズミに腕やら頭やら吹き飛ばされたり齧られたりしてるうちにスキルが増えた。
スキル・・・痛覚耐性弱
これは痛みを和らげてくれるスキルなのだが参った。
今までは痛みですぐ気絶してのだが耐性がついたせいで死ぬまで意識が途切れない。
生きたまま食べられるのってきつい。
まあネズミどもは集団で動き食欲旺盛だから秒で完食、すぐ死ねるからまだいいけど。
こんな調子だから探索はあまり進んでいない。洞窟にはいくつもの分岐点があるのだがランダムでこのネズミがいる為奥に進む事が困難なのだ。
ネズミを倒すしかないのだが短剣はまるで役に立たなかった。表皮が硬過ぎてどこを刺しても折れてしまった。
その点この棒は凄い。ネズミの口に突っ込んだらネズミの歯が折れた。機を逃すまいと棒で叩きまくったけど全く効かず爪に引き裂かれて死んでしまったけどね。
でも悪い事ばかりじゃない。いい事も発見した。
「ステータス!」
名前 アル•ディライト
種族 人間
年齢 14歳(時間停止中)
加護 底辺のゴミ
レベル Lv3
HP 20
MP 0
攻撃力 3
守備力 3
敏捷性 2
魔力 2
運 1
スキル 鑑定、痛覚耐性弱
装備 皮の上着、皮のパンツ、革靴、ひのきの棒、鞄
魔物を倒していないのにステータスが上がっていたのだ。
これを続けていればいつかは、と言う希望が生まれた。
『ログイン46日目です。』
日を跨ぐと経過時間が分かるらしい。
もう1ヶ月以上経っているのにネズミ1匹倒せやし無い。
この空間、時間は止まっているが疲れや空腹はある。疲れは大浴場で取れるが空腹は無理だ。どうしているかと言うと洞窟内に生息している草や虫を食べている。不味いなんてもんじゃないが空腹には勝てない。
お湯で洗い松明の火で炙って食べている。
あのネズミさえ倒せれば肉が・・・。
『ログイン349日目です。』
あれから一年近く経った。まだ生きてる。
いや死ねないだけか・・・相変わらずネズミは倒せていない。
たがランダムだと思っていた配置に規則性を発見し探索範囲は広がっている。
採取する虫や草の幅が広がった。
ステータスが上がるのがわかってからヒノキの棒で素振りもしている。
肉が食べたい。
『ログイン1年と210日目です。』
ステータスが微妙にふえただけで何も変わらず。宝箱を発見!中にはフードのついた外套が入っている!装備するが防御力は変わらなかった・・・。素振りを続ける。
『ログイン7年と27日目です。』
スキル痛覚耐性中を獲得。
ネズミに齧られても痛く無くなる。
宝箱からゴスロリドレスなる物が出る。
女性の装備品のようだ。大浴場脇の脱衣所で試着してみる。ふむ。なかなか似合っているな。サイズも丁度いい。だが動き辛い。
素振りを続ける。
『ログイン56年と63日目です。』
スキル痛覚耐性上を獲得。
ネズミの動きを目で追えるようになるも身体はついていけず。まだまだ精進が必要だ。
だが確実に強くなっている。
『ログイン160年と281日目です。』
スキル痛覚無効を獲得。
ネズミに効果的な打撃を与える事に成功する。
いつの間にかスキルが増えていた。
ディスペア流剣術初伝
歓喜に打ち震える。
『ログイン542年と365日目です。』
この日がついに来た。随分前から倒す算段はついていた。だが確実に仕留めるため爪を研いでいたのだ。彼奴は3〜5体の群れで現れる。一匹たりとも逃すまいよ。ふふふ。
腰布に棒を刺し石碑を触る。
さぁ行こう
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