黎明のファロティエ

しゆん

プロローグ

 ーランタン持ち「ファロティエ」


中世ヨーロッパにて夜の街を守る堤灯持ち。国の高度発展上のため犯罪が多くなるが、実は守るものは人だが人にあらず。人ならざる者もまた、導き手が必要なのだと。




 「うわぁー!! なんだよこれっ!」


 


 静かな夜の街路時に慌ただしく何かに追われている人影が一つ。その後ろからは大きな淀みの様な中から無数の手が彼に迫ってきていた。幾層にも重なられていた箱をもなぎ倒しつつ走り続ける。交差点を右に曲がるとそこは行き止まり。後ろを振り返ると先程迫っていた無数の手がじりじりと迫る。(もうだめだっ!)と下を俯いた瞬間、大きな音と共に堤灯を片手に導き手の印がはいった祈禱服を着る女の子が彼と無数の手の間に入っていた。




「彷徨う、行き場のない魂よ 我と共にプリエっ」




 そう唱えると共に彼女が走り去る。無数の手がそれを追うように居なくなっていた。


「なんだったんだ…」くずれこむように座るこの少年が主人公のマディ=セイブル。縛っていた長い髪が解けてしまったため再び結び直し、手に持っていた懐中時計に目をやる。




 「やばいっ!!面接の時間に遅れている!」




 再び駆け出すマディ。明るい繁華街へと姿を消すのだった。

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