第106話 ヤンデレ月乃(Ⅱ)
協力要請者・第一弾は普代剣将。
アイツは単細胞かつクソ雑魚フィジカルだけど、話せばわかるし何より義に厚い男だ。
ボクが困ってたらきっと助けてくれるだろう。
「頼む、ちょっとだけキノをボクから引き剥がすだけでもだいぶ助かるから!」
そう思いながら彼にメッセージを飛ばす。
内容としては、明日とかにキノを適当なデートに誘ってくれ的な感じだ。
今休み時間だしすぐに返事がくるだろう。
「大丈夫だよな、助けてくれるよな」
祈る気持ちでスマホを握り締める。
──いや待て、祈るって誰にだ?
神に祈るのか?
ボクにTS鬼畜乙女ゲー転生とかいう苦行を強いた神にか?
「そう考えるとここの神は助けてくれなさそう」
むしろ笑いながら苦難マシマシにして愉悦ワインキメてそう。
絶対邪神だよ、邪神。
おのれ、いつか復讐してやる。
「あ?」
そんな妄想を繰り広げていると手の中のスマホが震える。
何かしらの通知が来た。
急いで画面を確認すると普代剣将からの返信が来た通知であった。
以下内容。
『なんでさ。そもそも、オレと滝沢って別にそんなデートする感じの関係じゃなくね?』
「いや乙女ゲーの
思わずスマホを投げつけた。
──すぐさま目の前の個室ドアに当たって跳ね返り、腹部に直撃した。
「ぐぇッ!」
普通に痛い。
「むしろデートありきの関係だろが!何言ってんだよ、もうちょっと乙女ゲーキャラの自覚持て!?」
むしろこれ以上ないくらい適任なんだけどなぁ!?
ビジュアル系みたいな見た目してんだから、ホイホイ女子と遊びに行けよ!
だがまぁ、大声出したら逆にすっきりした。
普代剣将が無理なら、次だ。
「次に頼めそうなのは──」
協力要請者・第二弾は宮古杖助。
こちらもまた攻略対象キャラであるから、ヒロインであるキノを誘い出しやすい気がする。
──まぁ、ネックとして彼はボクに惚れてるらしい点があげられるが。
しかし、逆に言えばキノとはちゃんと友人関係を築いているから友人同士で遊びに行くノリで、ボクとキノを引っぺがしやすいだろう。
「だから、頼む!」
キノと放課後遊びに行って欲しい、という旨のメッセージを送信。
「お願いだからキノを一旦どか──いや早っ!」
なんか速攻で返信来た。
以下内容。
『嫌です』
「な、なんで!?」
あの宮古杖助らしからぬ返信内容に驚いていると次々とメッセージが連投される。
『僕が貴方のことを好きなのは知ってるでしょうに』
『なんでそんなことを言うのですか?』
『そもそも、告白して以降メッセージも余り返してくれなくなったのは何故ですか?』
『今、久々に貴方からメッセージが来て嬉しかったのになんてことを言うので──』
通知が、止まらない。
どうやらボクは、うっかり地雷を踏み抜いてしまったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます