第22話 なにがなんだか

 ▽▲▽


 月乃さんの襲来&ミオの悲しき誤解から一夜明け。

 昨日貰ったプリントを記入して昼休みに担任へ提出したところ。


「もう貰ってあるけど?」


 って言われて、私は大いに首を傾げた。

 じゃあ、昨日月乃さんが訪ねてきた一件はなんだったのか?

 彼女に頼んだクラスメイトXの勘違いだったのだろうか?


「うーむ、なんだかな?」


 そう言いながら、とぼとぼと廊下を歩く。

 歩きながら考えるのは、クラスメイトXのことだけではない。

 例のモブふたりの件だ。

 結局一晩かかってもフブキに一太刀も入れれなかったふたりは、現在あの地下ホールで伸びて泥の様に眠っている。

 さて、彼らがアソコを出れるようになるのは何日先だろう?

 ーーさっさと強くなって出れる様になってくれないと困るんだけど。

 欠席だって何日誤魔化せるかわからないし。

 ちなみに彼らの家族には、適当な理由をフブキがでっち上げて連絡してある。

 多分家族相手になら2〜3日は大丈夫だと思うけど、それ以上かかったらわからない。

 うーん、と頭を悩ませていると、正面方向から誰かが手を振って向かってきた。


「おーい!」


 咄嗟に後ろを振り返る。


「いやお前に声かけたんだよ!」


 そう言って軽く私の肩を叩いたその人は、剣将くんであった。


「こンなんでも、無視されると割と傷つくんだぜ?」


「すいません。私、廊下で声をかけてくれるような友達が居なかったモノで」


「お、おう。なんかスマンな」


 気まずそうに視線を泳がす剣将くん。

 この手のキャラって、相手の地雷を気づかず踏み抜いた上に踏んだことすら気が付かない鈍感が多いけど、彼は割と気遣い出来るタイプだった。

 だからこそ、人気だったし私も推してたんだけどね!


「じゃあ、いつも一緒にいるあのちっちゃい子はなんなんだ?」


「彼女は使用人だからノーカン」


 私の言葉に納得してないように首を傾げながらも、野暮には突っ込むまいとしているのか、追及はしてこなかった。

 取り敢えず、話題を変えよう。


「それで、どうかしまして?」


「ん? 廊下で友達に会ったら特に用なくても話かけるだろ?」


「ーート モ ダ チ ?」


「何故いきなりロボットみたいに!?」


 どうしよう。

 今世で初めて出来た友達が前世の推しだった件について。

 嬉しさで固まらざるをえない!


「まぁ、今回は用あったんだけどよ」


 いやあったんかい。


「なんか、また練習試合決まったンだよ。しかも何故か前やったトコと再度」


「それって変な感じですわね」


 普通、同じ学校同士の練習試合なんて早々何度もするモノでは無い気がする。

 それも短いスパンで。


「理由は兎も角! リベンジ出来るならそれに越したことはねぇ! 俺は燃えてきたぜ!」


「ちなみにソレは何日ですの?」


「次の土曜だってよ」


 今日って何曜日でしたっけ?

 ふと思って、スマホを取り出してホーム画面を見て確認する。

 本日は、木曜日。


 ーー明後日!?

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