夏に渡り鳥は来ない

 強引な要求により、シュンは焼き鳥を作る羽目になった。


「まずは・・・鶏肉だよなぁ・・・」


 そう言って、城の南側にある沼地にやって来た。


 ここも、冬になれば渡り鳥が来るのだが・・・あいにく、夏なので水鳥は見当たらない。


「う~ん、どうしよう・・・」


 見上げると、ワシが旋回している。


”ワシじゃあだめだよね”


 そう思いながら、シュンは近場の地面に腰を下ろした。



 

”せめて、食材を確保してきて!”

 その旬の言葉に、エルザは・・・


「私、拳闘士よ。弓は使えないわ」


 と拒否した。


「シ・・・シルビアさん?」

「私は剣しか使えないから無理だ」

「えぇ・・・」


 こうして、二人から食材の確保を拒否された。





「どうしろって言うんだ・・」


 東の王国には、うずらのような鳥がいると聞いている。また北の国では、野鳥を食べる文化が根付いているようだ。

 だが、公国ではちょうどよい鳥は存在しない。

 特に、夏である今は・・ほとんど鳥類は見かけないのだ。



”ほんと、どうしよう・・・”

 途方に暮れていた時、沼の水面から視線を感じた。



”あ・・・もしかして・・・これなら・・・”


 その視線の主は、身の危険を感じたのか逃げようとした・・・が、シュンの手によって捕まってしまった。


「よし、この食材で試してみようかな」



 

 

 


 

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