第8話

「やさしいんですね」


 急に言われた。屋上。


「なにがですか?」


「いろいろ。わたしに、いろいろしてくれて」


「そりゃあ、まあ」


 鋭い目つきをやわらかくしたら、その綺麗な顔がどうなるか。それが見たかっただけ。


「目的があってそうしてるだけなんで、気にしないでください」


「目的?」


 言う必要はない。


「どんな目的ですか?」


 彼女。興味津々、というよりも。なにか気になる様子。


 嘘を言おうか。


 それとも。

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