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『これを書いた人は、同じ雨を、色々な角度から楽しもうとしてたのかもね。』
そう言いながら、彼女がまた、雨を見つめる。
『ねぇ。また、あの公園で、線香花火しようよ』
視線を、外の雨に向けたまま、彼女が呟いた。
初めて、線香花火をしたあの日から、私達は毎年、この時期になると、二人であの公園へ、線香花火をやりに行くようになっていた。
でも、去年、私達は、その公園で、線香花火をする事はなかった。
『ああ… また、今度ね』
小さい振動と共に、スマホに届いたメッセージに目を向ける。
庭には、二人の好きな、綺麗な青紫陽花が咲いてる。
けれど、紫陽花の綺麗な色は、土中のアルミニウムの量によって、何れ、移り変わる。
色彩豊かで、目を惹く紫陽花。
青色だけじゃ、物足りないんだ。
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