第五百五十八話 空は色々と買い込んでみる!②

「だったら十分だよ、問題ない」


「一撃で倒せるからか?」


 と、ひょこりと首をかしげるシャーリィ。

 空はそんな彼女へと言う。


「うん。全力の一撃を入れられれば、倒せるとは思う。それに、僕の奥の手はもう一つあるしね」


「シャーリィ知ってる! リーシャに頼んでたやつだ!」


「まぁ、そっちの方はなるべく使いたくないんだけどね……成功するかわからないし」


「大丈夫だ! クーなら絶対に成功する!」


 ふりふり。

 ぴこぴこ。


 シャーリィの狐尻尾と狐耳は、今日も元気に動いている。

 空がそんなことを考えていると。


「クー! クー! あとは何が欲しいんだ!? シャーリィ案内する!」


 と、言ってくるシャーリィ。

 空はそんな彼女へと言う。


「使うかはわからないけど、色々消費アイテムが欲しいんだよね」


 それは例えば煙幕とかだ。

 閃光弾とかでもいい。


 魔法 『ハイド』を手に入れるため、それらは必要ない可能性が高い。

 しかし、死神怪人の気を逸らす方法は多い方がいいに違いない。


それらを持つことにメリットはあっても、デメリットはないのだから。

 なぜならば。


(僕の異能を使えば、そもそも収納に場所を取るとか……そんな概念はないしね)


 などなど。

空がそんなことを考えていたその時。


 くいくい。

 くいくいくい。


 空の袖を引っ張ってくるのはシャーリィだ。

 彼女は尻尾をふりふり、空へと言ってくる。



「はいこれ! クーに買ってきた!」


「うん、ありが……え、なにこれ?」


「《ハイド》の技能書だ!」


「え、いつ買ってきたの!? さっきまで隣にいたよね!?」


「クーが考え事してる間に買ってきた!」


 と、にこにこシャーリィ。

 彼女はラッピングされた技能書を、空へと差し出してきながら。


「シャーリィが貯めたお金で買ったんだ! クーへのプレゼントだ!」


 そんなことを言ってくるのだった。

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