第三百三話 空はムカデを退治してみた

 時はあれから数分後。

 場所は超巨大ムカデが、地上に出る際に空けた穴付近。

 現在、空はそこに落ちていた瓦礫の上に腰掛けていた。


「はぁ……」


 本当に疲れたとはこのことだ。

 結局、空はあのあと全力の魔法『ファイア』を何度も真下に放ち落下の勢いを緩和した。

 結果、ようやく無事に着地することができたのだがら。


「でも、被害が最小限にすんでよかったな……スカルボーンの人たちも助けられたら、本当によかったんだけど」


「くーーーーーーう!」


 と、聞こえてくる胡桃の声。

 空がそちらの方を見くと、見えてくるのは空以外の天使班の面々。

 彼女達は空のほうへすぐさま駆けてくると。


「さすがあたしの空ね! あんたなら、あんなムカデ瞬殺するって信じてたんだからね!」


「兄さん……大丈夫ですか?」


「おまえ、やっぱり私が見込んだだけあるわぁ」


 と、言ってくる胡桃、時雨、そして氷菓。

 中でも、時雨は空へと更に言葉を続けてくる。


「怪我は……ないようですね」


「全身痛いし、正直もう倒れたいって言うのが本音だけどね」


「そうですか、本当にお疲れ様です」


 と、空の頭をなでなでしてきてくれる時雨。

 背伸びして頑張っている様子が、妹ながらなんとも可愛らしい。

 空がそんなことを考えていると、時雨は空へと言ってくる。


「でも兄さん……まだ倒れてはいけませんよ」


「え?」


「ヒーローは守るべき人々に安心を与えるのが仕事です……つまり、兄さんにはまだ仕事が残っています」


 と、そんな時雨が指さした先に居たのは――。

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