第二百八十九話 空と天使班の作戦会議③
「でも妙ね……この人たち、まったく動かないわぁ」
と、いつもとは異なる真剣な表情で言ってくる氷菓。
空はそんな彼女へと言う。
「それってどういうことですか? 寝ているとかってことですか?」
「そうねぇ。こんな昼間から立ったまま眠るやつや、階段を登りながら眠る奴がいるのなら、そういうことになるわねぇ」
「えっと……階段を登りながら?」
「要するに、まるで固められてるみたいなのよ。何かしている最中に、突然時間を止められたみたいな」
「…………」
いったいそれはどういうことだ。
考えられることはいくつかある。
(本当はメンバーが二十二人居て、二十二人目が他の二十一人を動けない状態にした?)
ようするに仲間割れだ。
スカルボーンの団結力がどの程度かはわからない。
しかし、仮に不良グループ程度だとするなら、十分に考えられる。
「お二人で盛り上がっているところすみません……話についていけていないのですが」
と、質問を挟んで来る時雨。
彼女は氷菓の異能の真の規模を知らないのだから当然だ。
だが、時雨には申し訳ないが今はそれを話している暇はない。
(もし仮にスカルボーンの人たちが、そんな状態にあるなら危険だ。完全に生命の危機に陥っている……早く助けないと)
それだけではない。
もしも空の予想があっているなら、街中に二十一人を固めてしまうような強力な犯罪者が歩き回っていることになる。
(いずれにしろ、もう呑気に索敵どうこうしてる場合じゃない)
空は席から立ち上がり、みんなへ自分の考えを伝えるのだった。
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