第百六十八話 空は聖女について知ってみる②

「勇者様……優しいのですね」


 と、言ってくるリーシャ。

 彼女は辛そうに、けれどもとても優し気に笑った後、空へと言ってくる。


「騎士様たちにお別れをしてきます、もう少しだけ待っていてください」


「待つよ、いくらでも。もし魔物が出ても守るから、周りには気にしなくていい」


「はい、ありがとうございます」


 言って、リーシャはゆっくり墓の方へ近づいく。

 そして、彼女は両膝を地面について祈りの姿勢を取る。

 その直後。


「っ!」


 空とリーシャが作った騎士達の墓に光が差したのだ。

 それだけではない。


 暗くなりつつあった空。

 その雲間からも光が漏れ出している。


 空がなんとも神々しい光景に呆然としていると、一つの変化が訪れる。

 なんと、騎士達の墓から光の玉ようなものが、空に登り始めたのだ。


「あれ、は……」


「騎士様たちの魂です」


 と、いつの間にか空の傍から言ってくるリーシャ。

 空はそんな彼女へと言う。


「もう、いいの?」


「はい、お祈りは無事に終わりました。彼等の魂はきっと天国にいけるはずです」


「…………」


 リーシャは聖女としての活躍する姿を、騎士達に見せられなかったと言った。

 けれど、それは彼女の間違いに違いない。


(リーシャほど聖女の名に相応しい人物はいないと思うけどな)


 空はそんな事を考えながら、地面から空へ登る光を見続けるのだった。

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