第三十七話 空は序列十位に勝ってみた

「勝っ……た?」


 空の目の前では、序列十位の梓胡桃が倒れている。

 つまり、どう考えても空の勝利である。


闘技場内は静まり返り、誰一人身動きすらしていないのがわかる。

 モニターだけが、空が勝者だということを示している。


「…………」


 と、そこで空はようやく落ち着いてきた心と頭で、ふと思ってしまう。

 あれ、これやばくね……と。


(一矢報いるばかりか、勝っちゃったんですけど……これ、絶対やばいやつでは……)


 空はゆっくりと、観客席にいる校長の方へと視線を向ける。

 すると、バッチリ目があう笑顔の校長。

 彼はアイコンタクトで言ってくる。


『よろしい、戦争だ。貴様のギルドは我がギルドが総力を挙げて潰す……次のオンゲーのイベントは覚悟しておけ』


 ですよね~。

 と、空が冷汗をだらだら流し始めたその時。


 ガシッ。


「ひっ……!?」


 空は思わずそんな声を上げてしまう、

 理由は簡単――色々考えているときに、唐突に足首を誰かに掴まれたからだ。

 はたしてその正体は。


「あ、あんた……なにもの、よ」


 凄まじい形相でこちらを睨み付けてくる少女。

 梓胡桃その人であった。

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