第41話 友達からの連絡


「楽しかったな〜」

「はい、楽しかったです」


今日は依織も楽しんでくれたようでよかった。少しは気晴らしになっているといいな。

思っていた以上に、依織と二人で行ったショッピングモールは楽しかった。

映画の内容はあれだったけど、また機会があれば二人で行きたいなぁ。

俺は今日の幸せに完全に緩んでいた。

その日の夜だった。普段あまり連絡してくる事のない、学校の友達の一人である木下大地からスマホに連絡が入った。

何かあったのかと内容を開くとその内容に心臓が跳ねた。


『睦月、まさかとは思うけどお前草薙さんと付き合ってるのか?』


何で大地が、知ってるんだ?

どういう事だ?

俺は誰にも言って無い。依織も記憶がないのでクラスメイトに連絡のしようがない。

なんでだ?

焦った俺はとりあえず返信してみた。


『一体何の事だ?』


と入れると即返信が来た。


『誤魔化す気か?』

『いや意味が分からないんだけど』

『クラス中回ってるぞ』

『何が?』

『お前と草薙さんが付き合ってるんじゃないかって事だよ』


夏にもかかわらず俺の全身から冷や汗が流れ出た。


『どういう事だ?』

『お前、今日駅前のショッピングセンターに行っただろ』

『まあ、行ったけど』

『そこでパスタを草薙さんに「あ〜ん」で食べさせてもらってたんだって?』


この文面を見た瞬間頭が真っ白になってしまった。

まさか、あの場にクラスメイトがいたって事か?

あの「あ〜ん」を全部見られてたのか? 

終わった……

第三者があの状況を見て思う事は一つしかないだろう。


『誰が見てたんだ?』

『クラスの女子だよ。伊野村だ』


周りは一応確認したつもりだったが全く気づかなかった。おそらくあのお店のお客さんとして来ていたのだろう。


『もうみんな知ってるのか?』

『ああ、みんな知ってるぞ。お前のリア充ぶりを余す所無く伝えてくれてる。最初から最後まで甲斐甲斐しく草薙さんに食べさせてもらったんだってな』


やばい、今度は全身が暑い。


『腕を骨折して食べるのが無理だったんだ』

『ラブラブすぎて見てる方が恥ずかしくなるぐらいだったそうだ。間違っても二人の世界の邪魔なんか出来なくて声をかける事も出来なかったそうだ』

『……どうしよう』

『今更どうしようもないだろ。学校が始まったら男子生徒には刺されるかもな』


最悪だ‥…俺の平穏な学生生活が。


「睦月さんどうかしましたか? 何かおかしいですよ」

「あ、ああ今クラスの奴から連絡が入って、俺達が一緒にパスタを食べてるのを見られてたそうだ。だからクラス中俺達の事を知ってるらしい」

「ああ、そうなんですね。それじゃあ学校に行ってから説明する事が一つ減りましたね。よかったです」


うん? 焦ってるのは俺だけか? 依織は焦ってる感じは全く無く、この状況を寧ろ歓迎しているように見える。

俺がおかしい……のか?

それとも依織はやっぱりズレているのだろうか。

でもこうなった以上もうどうしようもない。

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