第25話 グラタンはおばあちゃんの味

部屋について早速依織の荷物の荷解きをしたが、依織の荷物を部屋に置くと、二組目の布団を置くスペースはどう考えてもない。ワンルームに高校生二人分の荷物を置けば当然だ。

慌てて布団を買わなくてよかったのかもしれない。」

それからTVをつけてみたが平日の昼なのであまり見たい番組もなかったので、スマホで動画を見て過ごした。

夕方になると約束通り依織が晩ご飯も作ってくれた。

今日のメニューは麻婆豆腐と中華スープにサラダだったが、やはり依織の料理は絶品だ。


「依織、美味しいよ。辛さもちょうどいい感じだし、本当に依織は料理が上手だね。将来はいいお嫁さんになるよ」

「うぅ………………」

「あっ………別に変な意味じゃないよ。本当にそう思っただけだから。ごめん」

「………はい。ありがとうございます」


しまった。別に特別な意味は無かったのだが、あまりに依織の作るご飯が美味しいので口から余計な言葉が漏れてしまった。下手するとセクハラものの発言だった。

今後は気をつけないといけないな。

それにしても依織は和、洋、中なんでも美味しいご飯が作れそうだ。

こんなに美味しいご飯を三食食べれて夢のようだが、現実に戻った時のギャップが今から怖い。

カップ麺も美味しいが、依織の作ってくれたご飯とは比べるべくもない。


「ごちそうさまでした」

「はい、お口にあったみたいでよかったです」

「本当に美味しかったよ。麻婆豆腐ってあんまり食べたことなかってけどこんなに美味しいんだな」

「よかったです。よかったらまた今度作りましょうか?」

「うん、大変じゃなかったらお願いしようかな」

「はい、作るのは結構簡単なんです」


今日はお昼は冷やし中華で夜も中華で中華三昧だ。俺が普段食べているカップ麺も中華と言えないこともないが、依織の作ってくれた中華を食べると身体が元気になる気がするし、味のレベルが違う。


「依織の作ってくれる料理はなんでも美味しいんだけど、特に得意な料理とかあるの?」

「そうですね。ママから習ったのだとグラタンとかでしょうか。グラタンはママの故郷の味みたいな感じです」

「へ〜っ、そうなんだ」

「はい、おばあちゃんがよく作ってくれたみたいです」

「グラタンか〜。よかったら今度作ってもらえる?」

「もちろんです」


グラタンがおばあちゃんの味か。

やっぱり俺とはかなり違うな。俺のおばあちゃんの味は煮物とかだ。

晩ご飯を済ませてから依織がお風呂の用意をしてくれた。

昨日の経験から俺は依織が入った後ではなく、先にお風呂に入る事にした。


「ふ〜っ。やっぱりお風呂はなにも考えずに入るに限るな〜」


依織の後に入ると精神衛生上良く無いと思うので、今日は先に入らせてもらった。

先に入ったので今日は昨日よりも雑念が無かった。おかげでリラックスしてお風呂に入ることが出来た。

ただ長風呂をすると血行が良くなって折れた腕が痛むので、さっさと身体を洗ってあがる。

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