第21話 俺たちの学校

「依織、今日はこれからどうしようか。とりあえず布団をもう一組買ってこようと思うんだけど」

「睦月さん、布団を買うおつもりですか?」

「うん、いつまでも昨日みたいに一緒に寝るわけにはいかないだろ」

「睦月さん、このお部屋ですが、私の荷物も増えたのでこれ以上荷物を置く場所がないと思うのですが?」 

「それはそうだけど」

「もう一組の布団をどこに片付けるおつもりですか?」

「さすがに片付ける所は無いから、ここに出しっぱなし?」

「それでは、何処でご飯を食べたりするのでしょうか?」

「え〜っと、布団の上?」

「睦月さん、無理ですよね。なので布団を買うのは無しですね」

「え? だって布団が無いと、今日から寝れないんだけど」

「大丈夫です。今日も朝までよく眠っていましたよ」


依織はまさかこれからも一緒のベッドで寝るつもりなのか?

今日のは、よく寝ていたと言うよりも気絶していたのに近いと思うのだが。


「依織、まさかと思うけど今日も一緒のベッドで寝るなんて事は………」

「他に方法がありませんので仕方がありませんね。私が床で寝ると言う選択肢もありますが」

「…………」


マジか………依織を布団もなく床に寝かすと言う選択肢はあり得ないが、今日からも依織と同じベッドで寝るのか?

依織がいいと言っているのだから問題ないのか?

確かにこの部屋で布団をもう1組入れるのは不可能に近い。

現実的に仕方がない……のか?

抵抗感があるのは俺だけなのか?

依織は抵抗感ないのか?

俺が本当の彼氏だったとしても男だぞ? しかも本当の彼氏ではない。

女の子の方が精神年齢が高いとは聞くがそんなものなのか?

考えても何も解決する事は無かったので俺は考える事をやめてしまった。

夜になったらまた考えよう。


「それよりも、一度学校に行ってみたいです」

「ああ、そうだよな。多分部活とか先生はいるだろうから行ってみようか」


もしも夏休みが明けるまでに記憶が戻らなかった場合、いきなり知らない学校の授業を受けるのはハードルが高すぎる。事前に学校の中を見ておくだけでも負担が減るかもしれない。

朝ごはんの片付けを終えてから念のために制服に着替えてから学校まで歩いて向かう事にした。

俺達の高校はここから徒歩二十分ぐらいに所にあるので依織と並んで向かうが、まだ九時前だというのにジリジリと焼けるような夏の日差しが痛い。


「暑いな〜。溶けそう……」

「暑いですね。でも私夏は好きなんですよ。他の季節よりも世界が明るく感じませんか?」

「あ〜そうかもな〜」


依織の感性は俺とは少し違い情緒的なのかもしれない。

俺は夏があまり好きではない。単純に日本の夏は暑すぎる。

全身を暑さに蝕まれながら歩いてようやく学校に着いた。

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