第4話 転生④

 目が覚めると、いかにも中世らしき内装の部屋にいた。どうやら転生は成功したらしい。

既にそこにあったかのように今世の5歳までの記憶があった。


 どうやら、僕の今世での名前はユーリ。ユーリ・アレクシオールというらしい。どんな家に転生したかと思ったら、王子として転生してるじゃないか!!!!


 はぁ。でもよかった。次男みたいだ。王位継承権2位の位置づけだね。

ここまでのユーリとしての記憶を整理しておこう。


 僕の容姿は、この世界では良い方というか、良い。金髪蒼眼で顔立ちもよく、父母両方の遺伝子を感じさせるような容姿をしている。


 父上の名前は、グレン・アレクシオール。現国王で、良き為政者として国民からは認識されているらしい。妙齢のメイドさんから見聞きした情報ね。容姿にも優れていて、金髪茶眼のイケメンだ。年は30を過ぎたころだけど、まだまだハツラツとしている。【剣聖】のスキルを持ち、戦では、前線で出て活躍をしたことでも知られている。これも同じメイドさんからの情報だ。


 母上の名前は、イリーナ・アレクシオール。アレクシオール現国王の正妃の地位だね。銀髪蒼眼の美女で、父上の一目惚れなんだと。【聖女】持ちで、父上とは恋愛結婚したんだそうだ。そのスキルの通り、聖女と呼ばれていて、性格はおっとりで正義感強めらしい。この時はメイドさんが尊敬の顔をして語ってた。


 兄上は、レオルグ・アレクシオール。次期国王候補。王位継承権第一位だね。【剣聖】のスキルを持ち、父上に似て強い。そして、容姿も父上にそっくりだ。ユーリ(僕)とは3歳差。僕の尊敬する兄だ! レオ兄って呼んでる。 王位なんてあげちゃうよ!


 妹のエミリア・アレクシオール。アレクシオール家の長女。 僕たちはエミィって呼んでる。母上の容姿をよく引き継いでいると言えるかな。初めての女の子だから、父上も兄上も僕もエミリアの為なら、なんでもするっていつも言ってる。父上と兄上なんて国を滅ぼそうか? とか言ってる。


 後は、騎士団長のキースとか、魔法師団長のアリスっていう人もいるみたい。父上たちと仲がいいから、何回か話したことがある。それぞれ、【剣豪】と【賢者】のスキルを持ってる。


 皆総じていい人だ。前世の母は悪い人だったけど、それでも僕にとっては唯一の大切な人だった。でも、もう今の僕はユーリだ。今まで生きてきたユーリの為にも、そのユーリを大切に思ってくれている人の為にも頑張ろう。


コンコンッ


「ユーリ様、朝食のお時間で御座います。ご仕度ください」


 この声は、僕の専属メイドのミリアかな? 僕の中のユーリの記憶がそう言ってる。



 ミリアは、亜人で、狼族らしい。年は7歳で、僕の2つ上だ。両親がこの王国に住んでいて、僕の側仕えを募集しているときにユーリの目に留まったみたい。特徴的な耳と尻尾に、くりくりした目。小動物のような動きに小さいながらユーリはキュンとしたようだ。要はユーリの一目惚れだね。ナイスだ! 小さき頃のユーリ! お前の意志は俺が継ぐぞ! 心の中のユーリがサムズアップしてる。


 小さい頃のユーリはどうしても尻尾の感触が気になったみたいで、一度尻尾をすりすりしたことがある。そしたら、ミリアが「ヒャッ/////////」って言って顔を真っ赤にして悶えた。どうやら狼族や他の亜人にとって尻尾や耳は、好きな人にだけ触らせる特別な所らしく、無神経にもユーリが触ってしまったから、びっくりしたんだと。人間でいう所の性感帯なんだと思う。そのことを告げる時のミリアの顔も恥じらいでいっぱいだった。もちろん、めちゃめちゃ可愛いかった。よくやったぞ!! ユーリ!


 そのあと、母上にこってり絞られたけどね。でも、その後はニヤニヤして、ユーリの方を見て、「責任を取りなさい。男の子でしょ?」って言って、ユーリのことをからかってた。 もちろん責任取るよ? 僕王族だし、ミリア好きだし。



 その出来事があってから、僕たちの仲は深まって、今はミリアが専属メイドとして僕についてくれてる。


「わかった!」


「1分で着替えてください! 過ぎたら突撃しますよ?」


「ちょっと待って!!」


 ミリアはこんな冗談も言ってくれるようになった。いいけど、突撃したら触るよ?


「5,4,3,2」


「――分かった分かった!!」


「1」


ガチャ


「はい! 間に合った! いいでしょ!? ミリア」


「はぁ、しょうがないですね。ユーリ様は。(本当は突撃したかったのにぃ)今回は許してあげます!」


「ありがとう、ミリア。じゃあ、朝食に向おう」


「早くいきましょう。皆さんがお待ちです!」


 ユーリ。お前の分までしっかりと生きるからな。絶対にミリアは落としてやるから安心しろ。


 心の中に眠っているユーリがサムズアップしているように思えた。

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