願いを叶える星座
流花
第1章 入院
怖い。初めてのことには何でも、そんな感情を抱かずにはいられない。初めての場所に私は緊張やら恐怖やらを感じていた。私の入院が決まって両親は泣きながら見送ってくれた。あまり多くのものは持って来れなかつたのだけれど、もうそんなにものは必要ないと思った。優しい親のもとに生まれて、周りの大人にも可愛がられて、才能があって。もう何も必要ない。神様は不平等だ。
「春来ちゃんって言うの、今日から1階の角の部屋に入った子。高校生くらいかしら。」
「え!春来ちゃんて、あの春来ちゃん?10年くらい前によくテレビに出てたわよね、」
「そう言われてみれば見たことあるかも、たしか歌手の、、」
「そう!天才美少女だって騒がれてて、歌も上手でね、、」
「あ、でもあの子、声が出なくなっちゃったみたいよ。」
「あら、そうなの、、、」
「春が来るって書いてはるきちゃん、素敵な名前ね」
病院に着くと優しい看護師さんが迎えてくれた。お医者さんのお話も聞いたけどなんか難しくてよくわからなかった。
「春来ちゃん、今日からここがあなたの部屋よ。」
看護師さんに案内された部屋は白い。ベッドがぽつんと置いてあるようなそれだけの場所だった。窓はないけれどしっかり明かりがついていて明るい。つまらなそう。一人部屋。人いないのかな。
「不安?」
看護師さんが眉を下げて私の方を見る。私は何も言わずにこくりと頷く。
「そうよね。でも大丈夫。心配しないでね。しっかり休んでね。」
そう言って看護師さんは部屋を出ていった。今日から1人。私の入院生活が始まるのだ。
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