求婚者研究・誠実さ、そして総評

 貴公子A 0

  → 人に探させて、ばれたら開き直りってサイアク

 貴公子B 0

  → 偽物で誤魔化そうとした点も、職人への態度も不誠実

 貴公子C ★★★★

  → 結局偽物を掴まされたけど、本人に姫をだます意図は無かった(たぶん)

 貴公子D ★★★★

  → 結果は出せなかったが、自ら船に乗って探しに行った

 貴公子E ★★★★★

  → 騙す意図が無かった(これ重要!)


「貴公子AとBは、0点ですか。厳しいですね。…そう言えば、この2人は、最初から偽物で対処しようとしたんでしたね」

「そう! それって不誠実の極みよね。そんな男、無いわ~、で意見が一致したの」

「そうか、それで0点なんですね。で、総合点は?」

「こちらです。

 まず、最下位は、9ポイント獲得の、貴公子B! 金に飽かして解決しようとし、姫を騙くらかそうとした点が見事反映されました」

「おおぅ! つぎ込んだ金は多くても、最下位なんですね~。求婚者としての価値、確かにちゃんと反映されている感じがします」

「でしょ! 第4位、10ポイント獲得の貴公子Aです。彼も姫を最初から騙すつもりだった。この2人って、かなりなダメンズよね、って皆の意見が一致しました」

「ダメンズ。…言われてみれば、そう、かも??」

「どんどん行くわよ、第3位! 11ポイント獲得の、貴公子C。騙す意図はなく誠実に対応したけど、まんまと騙されたところが微妙! これもある種、ダメンズ?」

 どんどん熱が入るお嬢様のアナウンス(笑) こりゃ楽しいわ♪

「いよいよベスト2ですね。第2位は?」

「はい! 12ポイント獲得の、貴公子Eです。で、必然的に一番は、貴公子D、なんと14ポイントでしたぁ!」

「あら! 最も誠実そうな貴公子E、トップじゃなかったんですね」

「この点、財力の使い方が響いたかたちとなりました。

 …で、これはどうよ? て審議が入って」

「審議…?」

「そう。姫のためを思って自ら行動したからこそ、財力ポイントが下がったのよね。騙す意図も無いし、この点はもっと考慮されるべきでは? てなって。それに、姫のほうも、宝を得るため大怪我をした彼のことは気の毒に思ったみたいだし」

「確かに。で? どうなったんです?」

「自ら体を張ったかどうかも考慮して、貴公子CとDに1ポイント追加、貴公子Eには2ポイントを加点しました。それと、唯一明らかに姫を騙そうとしていない点も考慮してさらに1ポイントを付与」

「え、それってつまり」

「そう、同点首位です!」

「ええ~? そんな結末ですか? それってなんか、最後の問題は100ポイント! って、それ1問で逆転できちゃって今までのは何だったのってなっちゃうクイズ番組みたいな」

「まあ、確かに。まさに貝無し(=甲斐無し)って感じもあるわね、子安貝だけに。でも、これはこれで、それなりに正当な評価じゃないかと思うんだけど」

「それはそうですね。彼がトップで評価されて、私もちょっとほっとしたというか」

「ね」


 やっぱり恋人は誠実でないとね、そんな結論に達したんだった。このときの私は、いえ、私たちは、想像もしていなかった。このわずか2か月後に、お嬢様が、人生初の恋をすることになるなんて。


        ***


 …あれからまだほんの数年だけど、すでにとても懐かしい。お嬢様といると、本当に飽きなかったなあ。


「よし、次はランダムで行こう。ん、なに? お嬢様はやっぱりお嬢-?」

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