第11話 連行
ところ変わって何度訪れたであろう生徒指導室。ですが今日は連れがいます。
細長テーブルの前にある焦げ茶色のソファに横になる勢いで寛ぐあたしですが、隣に背筋をピンと張りながら座っている風紀委員ちゃん改め暴言
「なんでわたしまで生徒指導室へ」
「893だからじゃいないんですか?」
きっぱりと断言すると、暴言
「……あなた、南條黒子でしょ。あなたの悪態は委員長から耳が腐るほど聞いてる」
委員長というと、我らがオカ研の部長も務めている酒咲のことですね。堅物で風紀に厳しい性格からか生徒たちには「鋼の風紀委員長」と恐れられています。誰が命名したか知りませんが、見てわかる通りクソダサいので最近はもっぱら学校内でネットミーム化しています。ですが、あの方のせいで日に日にあたしに対する風紀委員の取り締まりが過激化しているのでいい迷惑です。
「あなたこそパッと出でなんなんですか!?あたしはあなたなんか会ったことも見たこともありませんよ!まずは名を名乗りなさい!!!」
「わたしは、一年の
「年下!?年下の分際で先輩に暴言吐きまくってたんですか!?うわやべぇーこいつマジやべェーー!!!」
[おいその辺にしてやれ。後輩を号泣させてる貴様も人の事言えないのではないか?]
またどこからか出現したクソ悪魔ことミミックがふわふわ浮遊しながら釘を刺してきてきます。しかし今日のあたしは悪魔の忠告如きでは止まりません。せっかく部室で優雅な午前のひと時(サボり)を過ごせたのにコイツのせいで台無しなんですから。
「良心悪魔は黙っていてくださいよ!!まずはあたしをお前呼ばわりしたことを謝罪してもらいましょーーーーか!!!年上にはちゃんと先輩ってつけなきゃダメでしょーーー!!!!!!」
[先輩呼びしてもらいたいだけだろう]
なんか涙目だった宍倉さんが驚いたような目であたしを見てます。予想していた反応とは異なりますが続けましょう。
「ほーら先輩はぁー?南條先輩はぁー?」
顔を近づけながら煽りまくると予想通りの半泣きになってくれました。さあここからヒートアップ──ッ
「さぁ、俺の説教タイムだ。お前たち席につけ」
いい所で筋肉だるまが部屋に入ってきました。
「ちっ、命拾いしましたね」
宍倉さんはこちらを向きません。どうせしわくちゃな顔になっていると思うので今回はこれでヨシとしましょう。
*
「全く、なんなんですかあの暴言厨は。親のしつけがなんてないんじゃないですかしつけが!!!」
ゴリマッチョ先生の説教&反省文タイムを終え、今は昼食の時間です。今日も部長は風紀委員の事後報告会というだるそうな会議に出席しているため、あたしは屋上でぼっち飯です。
[憤怒しながら食うではない。無駄に動くせいで唾が全方位に飛散するではないか]
「うるせーです。誰もいないんだから別にいーじゃありませんか」
[この不法侵入屋上飲食も教師共に見つかればどんな目に遭うのやら]
「くっ、アイツのせいで無駄に生徒指導室への連行回数をカウントされてしまった」
[自業自得でだな]
「まっ、いいですけどね。どうせもう関わることはないので」
次にアイツを校門前で見つけたら迂回して裏門から侵入してやりましょうか。ですが、裏門は教師の出入り口でもあるので難易度はベリーベリーハード。どちらの選択肢を取るべきか……
[いや、貴様とは今後もあの女とは関わってもらうぞ?]
校門には暴言娘を含む風紀委員や御理瓦、裏門には教師たち。悩ましいですねぇ……
[むしろ関われ、それが貴様との契約だ]
いっそのことフェンスよじ登って侵入しますか……
「今なんて言いました?」
[だから貴様は今後もあの娘と関わるのだ]
「話聞いてました?あたしは今後暴言娘ちゃんとは関わることはないって言ったんですよ?」
[貴様こそ我との契約を忘れたのか?あの娘は貴様が契約を履行するために乗り越えるべき壁なのだぞ?]
「契約と暴言娘ちゃんの何が関係あるんです?」
[そうか、貴様には魔力が見えていないのだったな]
ま、まさか……
[そのまさかだ]
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