第10話 妃教育?
「……ところで王子いつからそのような証拠を集めたのですか?」
王城に移動する馬車の中でジャックに見せた証拠の紙を見ながらセルクが尋ねる。
「うん、捏造♪それっぽく書いているだけで内容はでたらめ。
軽く幻術をかければ勝手にあいつらが思い込んだ書類が見えるようになる。
証拠なんてあとから見つければいいだろう」
馬車でばりばりお菓子を食べているロイ。
女性の身体なのだからもうちょっと考えろと思うが、面倒なので突っ込まないようにする。
「……だと思いました。
どうせ聖剣も偽物でしょう。
氷の騎士アレスが生きているのに召喚できるわけがありません」
馬車に無造作に立てかけてある聖剣を見つめながら言う。
「もちろん!氷の騎士の私物を嘗め回すように触り観察しまくった俺様だからできる芸当★
細部までばっちり記憶ずみ★氷魔法を駆使してつくりあげてやったぜ。俺って天才★」
ロイがウィンクしながら手をピースして上にあげるという謎のポーズをとる。
魔獣を倒し、だれもが歓喜に震えていた時、そのすきをついてアレスは味方に切られ崖から落ち、アレスはロイの腕の中で昏睡状態に陥った。
その時ばっちりアレスの聖剣はロイが確保していたのだ。
その時嘗め回すようにじっくり観察してある。
セルクにはその姿が容易に想像できて頭を抑える。
「いばらないでください。キモイです。変態です」
「誉めてもなにもでないぞ★」
ウインクしながら手を可愛く人差し指にして頬に乗せる。
「ご令嬢の身体でその気持ち悪いポーズとセリフはやめてください」
真顔でいうセルクにロイはふむと胡坐をかいた。
「そうか俺の身体の方が好みか」
と、真剣に考えたあとにっこりというロイ。
「はい、死にますか?死にたいですか?」
セルクは書類を握りつぶす。
「まぁ、冗談はさておき、そろそろ仕事だ。王城につくぞ」
これ以上茶化すとセルクの我慢の限界を超えてしまいそうなので、ロイは慌てて話題をそらした。
「なぜわざわざ王城に行くのですか?」
「フローラの仕事だそうだ。毎日城で妃教育と称した雑用を押し付けてられているらしい」
「まさかこのまま喧嘩をうりにいくつもりで?」
「当たり前だろ。氷の騎士とフローラを守ると約束した。
この体にいるうちに彼女の敵は全力で排除する。そのためには敵を見極めないとな。」
「あなたは氷の騎士のために無茶をしすぎです」
「なんだ嫉妬か?大丈夫だセルク。俺はお前も全力で愛してるぞ!!」
「……さすがに女性の体でその発言はやめてください」
「ふむ、確かにフローラは美人だよな。ときめくか?」
「中身がロイ王子ですよ。どこにときめく要素があります?」
「じゃあこれならどうだ」(投げキッス)
「やめないと怒りますよ?」(マジ切れ)
「はい、すみません」
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