第41話 バカにしてるだろ
「おい、ここ水掛けちゃいけない場所だぞ」
「違います~。そこはギリギリ水OKな場所です~。ちゃんとそこの看板見てください~」
「看板?」
挑発的な顔をしながら指差す方向には、しっかりと『水はここまで!』と書いてあった。
クッ!律儀な看板め!
「それに……………俺のかき氷が…………」
手に持っていたかき氷は、水を掛けられたおかげでただの色のついた甘い汁になってしまった。
「それは、ごめんなさい。見てなかったわ」
俺の手元を見た千葉は、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「いや、いいんだ。そんなに量はなかったし」
「でも、おいしそうに食べてたじゃない。子供みたいに」
「おいそれはバカにしてるよな?」
「全然してないけど?」
「絶対してるよな?目が完全に笑ってるし、明らかに口角が上がってるけど?」
「……………見間違えよ」
スッと真顔になった。
こいつ………………反省してそうだったから許してやろうと思ったのに。かき氷奢らせようかな。バカにした事を含めて2個。
「楽しいプールなのに、私をおいて2人で話しているとはどうゆうこと?」
後ろから、腕を組みながら氷見谷は冷血な眼差しをしてくる。
組んだ腕には胸がどさっと乗っかり、いかにも千葉をバカにしているように思えた。
それにしても、凄い破壊力。戦闘力53万をざっと超えるだろう。
「ご、ごめん………………つい」
「おいおい、その発言特大ブーメランなんだが?」
さっきまで俺を放っておいて、2人で遊んでたやつがなんか言ったか?
「さておき、そろそろダイエットでもしましょうか」
手を叩き、強引に話を変える氷見谷。
「だね。結構遊んだから次は痩せないと」
「そんな水着着といて痩せたいとか……………」
「今、なんか言った?」
「いえなんでも」
派手なビキニ着といて痩せたいとか片腹痛い。
自分痩せてますよーって見せびらかしたいだけじゃないか、ビキニなんか。
どっちかと言うと千葉はもっと太って、ぺったんこな胸に肉を付けた方がいいと思う。
まぁ、それがお腹とお尻にいくから困ってるんだろうが。
「と、始める前に、この中で泳げない人はいないかしら」
「泳ぎ?なんでだ?」
「これから隣にある50メートルプールに移動して本格的に泳ぐから」
「最初からそっちに行けよ…………」
「さっきも言ったけど、あれは遊びながらウォーミングアップしてただけよ」
「そうには到底見えなかったんだが?」
「それで?泳げない人はいるのかしら」
「俺は泳げるぞ、人より上手い自信はある」
小学生までスイミングスクールに通っており、中学でも水泳の授業は毎回A評価。
運動の中でも得意な部類だ。
「私………………泳げない」
スッと手を上げたのは千葉だった。
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