第7話 情緒不安定か!

「別に誰にも言うつもりはないんだが?」


「嘘!絶対誰かにバラして笑い者にする気よ!」


「被害妄想もほどほどにしてくれ」


「だって私だったら言いふらすもの!」


「お前の考えなんて聞いてないわ!」

 自分が俺と同じ立場だった言いふらしてるとか、どんだけゴミみたいな生活してるんだよ。

 それに、誰かに言ったところで何かになるわけでもないのに、むやみに言いふらす事もないだろう。


「言いふらさないから、マジで」


「絶対?」


「絶対」


「ホントの本当?」


「ホントの本当だ」


「嘘!やっぱ言いふらしそうで怖い!」


「お前は情緒不安定か!」


 途中まで上目遣いで迫ってくるかと思うと、いきなり大声で怒鳴る。


 ここまで来ると流石に怖いぞ。


「てか、言いふらすもなにも、バレたくないなら教室でヤルなよ」


 根本的な原因はこれだ。

 バレたくないならわざわざ教室でしなきゃいい。そんなに窓際の席で行為をするロマンを求めるなら、どこかの撮影スタジオでも廃墟でも行ってした方がいいと思う。間違ったことは言っていないはずだ。


「私はしたいって言ってないわよ……………氷見谷がしよっていったから」


「断れよ」


「無理よ!そのあと何されるか分からないもの」


「何、氷見谷はヤクザかなにかなの?」


「ある意味そうかもしれない」


「ヤクザより、女王様と言ってちょうだい」


 腕を組みながら、氷見谷は話に入ってくる。


「あんま変わらないだろ」


「変わるわよ。ヤクザだとただ心葉のこと脅してレイプしてる風に聞こえるじゃ

 ない」


「話を聞くかぎりその考えは間違えてないと思うけど?」


「心葉やられてる時喜んでるから無理やりじゃないし、その証拠に下はびしょ濡れになってるから」


「…………だな」


 納得だ。俺の机を汁まみれにするくらい濡れているから、意見には同意する。


「だから!……………そうゆう事言うんじゃないわよ!」


「もう恥ずかしがることはないのよ?バレてるんだし」


 真っ赤になる千葉に対して、やれやれと呆れた表情を浮かべる氷見谷。

 この2人、やっぱり性格は真逆のようだ。体の相性はばっちしのようだが。


「とにかく!あんたは誰にも言うんじゃないわよ!」


 再度、怒鳴りながら俺に近づく千葉。


「言わないけどさ……………」


 さっきからずっと気になってた事がある。


「あの……………乳首が…………」


 千葉の控えめなワイシャツの隙間からは、桜色の突起物がこんにちはしていた。


「ちく……………び?――――――――っ!」


 胸元に視線を落とすと、露出している事に気付いたが、甲高い声を上げながらバっと急いで隠す。


「見………た…………よね?」


 手で目を覆う俺に、羞恥に顔を染めながら目を細める。


「見てないって言ったら冗談になるな……………」


 綺麗な胸だった。大きさは置いておいて、あの形は美術品だ。まさに美乳。


「…………………変態っ!」


 刹那、俺の頬に容赦ない強烈なビンタが放たれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る