第103話 かくしごと。
変身したライカに飛び乗って、ダンプカーみたいな獣の背中で吹き飛ぶ景色を眺めて移動。
いや、行ったことある街だからファストトラベルすれば良いんだけどね?
でもせっかくなんだし、ライカに乗ってヒイロと長旅も乙かなって思った私は、ライカが序盤のボスを瞬殺しながら目的までひた走る風を感じていた。
最初の被害者オールドトレント君、紅蓮雷華を発動して触っただけで消し飛んだ。南無。
次の被害者、なんだっけコイツ。私が名前を思い出す前にティアラボルトとホーリーブレイブで蒸発。南無三。
最後の被害者。ゴリア・ゴリアって名前の鎧ゴリラ。タンク系のボスらしいが、ワールドブレイカーとホーリーブレイブがあるライカには防御スキルなんて意味が無い。紅蓮雷華発動で五発くらい殴ったら死んだ。むしろ紅蓮雷華発動中の攻撃を五発も耐えたの? 凄くない?
そして到着、ベースティシア。鍛治の街だったかな?
周囲一体で岩がゴロゴロしてるフィールドにある街で、物理系の武器と防具が豊富に手に入る場所らしい。
黒魔女の短剣斧に強化する前なら気になって見回ったんだろうけどな。
………いや、前みたいな事もあるし、予備武器は準備するべきか? 拷問用のナイフを買うでも良いし。…………ああ、もう金無かったわ。
「ほい! とうちゃく!」
「グルァ……。とーちゃく」
「…………(シュタッとポーズを取るヒイロ)」
街には入らず、近くで降りて岩ステージを歩き回る。ここは確か、バーストロックゴーレムとメタリオスロックなるモンスターが出る場所で、どちらもタフネス特化。殴るには丁度いい。
装備耐久が削れても、すぐそこにあるのは鍛治の街。いつでも直せる。
「さーて、試し斬りしつつレベリングとお金稼ぎだぞー!」
「おー」
「…………(シュピッと前足を上げるヒイロ)」
予備のナイフでも買わねば。
◇
三時間後。
◇
【
【職業:ビーストテイマー】【種族:
・HP:6500
・MP:6500
・STR:425
・INT:325
・AGI:1325
・VIT:325
・MIN:325
・DEX:325
【ペット】
【プリマラヴィア:ヒイロ】【Lv.55】
【招雷獣王姫ワイルドハント:ライカ】【Lv.2】
◇
【招雷獣王姫ワイルドハント:ライカ】【Lv.2】
・HP:70000
・MP:70000
・STR:2000
・INT:2000
・AGI:2000
・VIT:2000
・MIN:2000
・DEX:2000
◇
ライカが、イベント終了してから今日までずっとレベルが上がらなかったライカが、やっとレベル二へ!
種族説明見た時に「え、レベルアップでそんなに増えるの? 壊れ種族か?」って思ってたけど、レベル一ずつの重みがプレイヤーと違ったんだね。理解したよ。
これレベルが上がるにつれてプレイヤーとの差が縮まっていくやつだ。ライカのレベルを一上げるだけで私たちのレベルが五くらい上がるんだ。レベルを上げれば上げるほど必要経験値量が増えて行くことを思えば、この先ステータスはどんどん詰まっていくはず。
それでもライカのポテンシャルに一片の陰りは無いけど、私の種族なら極振りすると途中で追い付けてしまう。
私の種族はカンストすると成長値だけで七百五十。SP総取得数は三千。AGIにはもう千振ってある状態だ。AGI極振りならカンスト前に追い付ける。
…………これ、もしかするとライカのレベルって二桁も行かずにカンストするな?
いくら大器晩成型っていっても限度がある。追い付かれても時間をかければ欠伸をしながらトリプルスコアで勝てるステータスになるなら、このゲームは誰も彼もがテイマーを選ぶだろう。
ふむ、ひょっとしてライカってテイム枠とかパーティ枠を複数使ってたりする?
テイムスロット一個分で得られる戦力にしては破格に過ぎる。パーティだとしても一緒だ。
イベントでクソキング殺す時は人数の兼ね合いで私はヒイロとライカだけのパーティだったけど、もしかしたらあの時からフルパーティ組めない感じか?
「ねぇライカ、ライカってテイムスロット幾つ使ってる?」
「…………ば、バレた? そんな、かなしみ」
「あ、いや怒ってる訳じゃないんだよ。純粋な疑問としてね」
「…………テイムスロットは、三」
「おおぅ、思ったより使ってた。……テイムスロットはって事は、パーティは?」
「……三」
おっはぁー。マシか。三って事は、エルオンのフルパーティが六人で、私とヒイロで二人、ライカで三人枠を使ってる計算だから、私あと一人しかパーティ組めない?
ヒナとパーティ組んだ時はアレでフルパーティ扱いだったのか。ギリギリじゃんね。
「使うねぇ」
「…………ご、ごめんな、さい」
「あ、ホントに怒ってる訳じゃないんだよ。て言うかライカの強さを思えば当然だし。知らずに問題起こしたら大変だなって思って聞いただけなの」
迂闊。ワイルドハントのテイム成功者が集う情報交換会『ワイハン同好会』に行けばもっと早く知れたのかな。ほんとに迂闊だった。ライカのスペックを考えればむしろ当然だと言うのに。
ゴーレムを爆砕してドヤ顔で帰って来たのに質問されてしょんぼりするライカを撫でる。可愛い。もはや無意識レベルなのか撫でる手をぺろぺろしようとするライカを躱してなでなでする。
「レベル上限は?」
「…………あと三つで、きょーせいしんか」
「ほむ。進化しちゃうのか」
「そう。それで、レベルの無いモンスターに、なる」
「………………おぉう、掲示板に投げたら騒ぎになりそう」
あと三つ。つまりレベル五でライカはカンストする。ステータスは三千と五百で止まるが、そこで強制進化が入るのか。
「進化後のステータスは分かる?」
「……たしか、六千?」
「つっっっよ」
それはもう、プレイヤーにはどうしようも無いステータスだ。プチレイドボスから真のレイドボスになる感じか。
等級で言うとユニオンレイドからハーフレイドくらいのレイドボスかな。レイドやフルレイドには及ばない感じ。それでも火力特化でフルレイドボスだったクソキングをほぼ独力で瞬きの間に削り切ったライカなら、十分過ぎるくらいだ。
ただそのレベルになると、不屈殺しだったティアラボルトが強化され過ぎて不屈が発動しちゃうのかな。あの時のクソキングみたいに。
あいつは雷スキルに回復不能のデバフ積んでたけど、ライカのスキルもその方向に進化するのかな? そうなら無かったらある種の劣化になるんだろうけど…………。
「まぁそうなったら、私が相手の首を刎ねればいいでしょうよ」
「…………? あるじ様?」
「なんでもなーい。心配しなくても、どれだけ強くなっても、どれだけ枠を使っても、ライカは私の大事なライカだよ。友達でしょ?」
「……ありが、と。あるじ様、すき」
感極まってぺろぺろを敢行しようとするライカの唇にキスをして黙らせた。その時ぺろぺろしようとするライカの舌が入って来たのはご愛嬌だ。ディープなやつや、ドキドキする。百合やぞ! ケモ百合はいいゾ!
リアルで本物のハイエナだってメス同士で致しちゃうんだからな! つまり私とライカが致しても生物学的になにもおかしな事はないのだ!
テンション爆アゲした私はそのままライカにキスを続行しようとして、慌て過ぎたライカに避けられた。
「せ、せんぱいに、ころされるっ」
「一緒に! 一緒にヒイロに殺されよっ!」
「あぅあ、あるじ様、だいぼうそう……! せんぱっ、たすけっ」
「………………(殺意の視線を向けるヒイロ)」
「……! しめん、そかっ! みかた、いないっ!」
四面は無いけどね。私とヒイロだけじゃ四面全てを楚歌出来ない。
て言うか私はライカの味方だよ♡ ヒイロの味方でも有るけど♪︎
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