第7話 廃屋の女生徒(1)
廊下で舞子が嬉しそうに報告してきた
「写真部に入部したの」
敬一の部活動に参加したらしい、嫌な予感しかない。
「変な事されてない?」
「そんな勇気ないわよ」と笑っている舞子は、
私よりも度胸があるように見える。
「玲子いいか」
男子生徒が声をかけてきた、武雄だ。
ふりかえり「こんにちわ」と挨拶するが
声が硬くなる。
霊能力者として有能な武雄が、私に用がある?
舞子が「美男子さんは、玲子さんの彼氏?」
と明るい声で質問をするが、
「ただの従兄妹だ」と愛想がまったくない。
私の友達への対応に、腹が立つがぐっと我慢する。
「舞子また後でね」と離れて武雄に、ついていく
武雄は廊下の隅に行くと
腕組みをしながら壁に背をつけた
お前はゴルゴか
「敬一の姉の自殺の件だ」
敬一は写真部の部長で顔を知っているだけの生徒だが、
因縁はある。
「自殺の原因になった事件の犯人が死んだ」
私は事件の具体的な内容までは知らない、
敬一の姉は廃屋で首つりをしていた。
「主犯は逃げていたが、自宅に戻って首をくくった」
自宅に戻って自殺?私は不思議に感じる。
逃げるのに疲れたのだろうか
「主犯って事はもっと居るの?」
「相談を受けている、あと2人は関係していた
一人は玲子のクラスにいる上村だ」
前に私をデートに誘い襲おうとした男だ。
「もう一人は・・・敬一だ」
私は予想外で黙った、彼が姉の自殺の原因に関係している
もう聞きたくない
「それで私に何をさせたいの?」
声が重くなる
「上村から誰が関係をしたか聞き出した
彼はまだ病院から出られないが、幽霊が来ると
おびえている。
そちらは、虎丸和尚に頼んでいる、
なんとかなるだろう」
「問題は敬一だ、あいつも関係しているなら
霊現象が発生する可能性がある、
協力してくれ」
ため息をつきながら「それでどうするの」
指示を待つ
「敬一を姉が自殺した場所に連れて行く」
彼を誘い出すおとりに使われるのか
武雄の頼みで、姉が自殺をした敬一を呼び出す事にする
ただ彼を騙して連れて行くのは、問題外に思えた
「敬一、お願いがあるの」
写真部&民俗学研究部の部室に行くと、敬一に頼む
「うん?玲子君どうした?」
いつもと違う雰囲気で戸惑っているのか、椅子から立ち上がると
廊下に出た。
「なにかあったのかな」
「この前の霊現象の件よ、あなたにお姉さんが憑依した」
「そうだったのか、自分では判らない」
私はゆっくりと話す
「あなたを、お姉さんの死亡した場所に連れて行きたいの」
敬一は固まると、顔色が変わる
「なんで」声がかすれている
「問題解決のためよ、憑依がまた始まる可能性がある」
私は敬一の肩に触れると、「あなたのためよ」
とだめ押しをした。
敬一は黙ったままだが、納得をしている様子だ
「休日に迎えにいくわ」
続く
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