魂鎮めの巫女は祓わない

初月みちる

序章 

根の国にて

営々と築いた国を奪われとこしへに隠れて王となり幾千霜


口惜しい口惜しい


死者の礼をもって封じ込めるとは!思うまま謝罪されたとて許せる理由は皆無なり!


口惜しい口惜しい


許さぬぞ許さぬぞ!必ずや中つ国を取り戻し忌々しき血筋を根絶してくれる!


口惜しい口惜しい


宿願を果たすまで羅刹にも夜叉にもなろうぞ!刺し違えたとて後悔はせぬ!


口惜しい口惜しい


決して忘れぬぞ!彼奴が我にしたことを!


口惜しい口惜しい


我が息子達を自害に追い込みかの地に閉じ込めたこと忘れぬぞ!


我は願う。かの血筋を滅ぼすことを


我は願う。中つ国の平定を


我は願う。根の国から出ることを



きっと誰にも止められない

きっと誰にも分からない

この胸を焦がすような無念は。この悔しさは。

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