第49話 現人神
「でかしたぞサクラ」
「わふ」
「……やっぱりな、こんな事だろうと思ったぜ」
頬を赤く腫らし、拘束される叶恵を見て、俺は全身をチリチリと焼く怒りをなんとか抑える。
俺を見るなり女子達が一斉に悲鳴を上げて、腰を抜かしたりあとずさっていく。
叶恵を拘束していた女子も、死に物狂いで叶恵から、いや俺から遠ざかる。
「なな、なんであんたがここにぃ!?」
リーダーっぽい女子、リダ女(仮名)の問いに、俺は叶恵に歩み寄りながら答える。
「東京大会ならともかく身内しかいない学校内の大会だぞ? それで付き添い人禁止の用事なんて不自然すぎるんだよ」
「そ、それだけで!?」
リダ女の目が驚愕に広がる。
「大丈夫か叶恵?」
「うん、ありがとう朝更」
「よしよし、怖かったな。まぁ、あとは単純に最初の三人からクズの匂いがしたってのもあるんだけどな。最低限の嗅覚がないと戦場じゃ生き残れないんだよ」
「くっ」
「さてと、これが戦場なら全員この場で撃ち殺しているんだが、どうしようかな」
「それはこっちの台詞よ! みんな!」
リダ女の合図で、女子達の制服が一斉に光となり消えた。
どうやらもしもの時の為に、下にパイロットスーツを着ていたらしい。
制服姿から、一瞬でパイロットスーツ姿になる。
全員次々にアシガルを再構築。
一〇人ものアシガルが俺らに対峙して、俺は純粋な人間として怒りを覚える。
脳神経が熱を帯びて、真っ赤に焼ける。
「叶恵、ちょっと下がってろ」
「え、ええ」
叶恵を一人下がらせ、逆に俺は前に進み出た。
「あはは、馬鹿じゃないの? あんたの事は聞いているわよ」
「今リハビリ中で本気の五パーセントしか出せないんでしょ?」
「それにオオクニヌシの大量殲滅武装使ったらおおごとだよ? 叶恵ごとうちの学校、出場停止処分になっちゃうかもぉ」
「いくら戦場の英雄って言っても、この人数差で、しかも体力も武装も制限かかった状態で勝てるとでも思っているの?」
「ていうかぁ……」
俺の一番近くにいた女子が、いきなり甲冑の拳を振上げ襲って来る。
「オオクニヌシなんて再構築もさせなっ――」
「怒雄羅唖唖唖(どぉらあああ)‼‼」
俺の突きあげた拳が、アシガルの腕をブチ上げハンマーフックを撃墜。
俺が踏む床にヒビが入り、相手の女子は後ろに転倒した。
俺の拳には、傷一つない。
「てめぇら……」
女子達が、口を開けたまま小刻みに震える。
俺の脳神経が焼き切れた。神経伝達は全て、怒りで行う。
「ドタマにきたぜ。オオクニヌシ!」
『イエス・マスター』
俺の全身を光の粒子が覆い、漆黒の殺戮神王がこの世に顕現する。
「全力の五パーセント? お前ら程度、俺の〇・一パーセントで十分なんだよ!」
俺は一本の高周波刀を再構築。
クイックブーストで瞬間加速して、女子達の間を縫い突っ切った。
四人の女子の腕、前腕の半ばから先が武器ごと床に落ちた。
ちょうどパイロットの手のギリギリ先で、切断面からは彼女達の手が見える。
『えええええええ!?』
「「この!」」
二人の女子が高周波刀を振りあげ飛びかかる。
俺は一薙ぎで二人の刀を、刀身の根元から切断してやった。
刀身を失った刀の鍔を見て青ざめる二人の足を、スネから下を斬り裂き二人は転倒。腰を抜かして床でもがいている。
「みんな!」
リダ女が叫ぶと、残る四人の女子は浮遊走行で俺に接近。
左右前頭上、四方向からの一斉攻撃。
俺の腕が二本しかない以上、半分は通ると思っているんだろう。
なるほど、連携は入隊一ヶ月の新兵の足下ぐらいには及んでいる。だけど、
「雑」
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