第17話 美少女四天王VS美少女勇者
「……エリス・グランベール」
ルビが眉間にシワを寄せるとエリスと戦っていたレーネや他の二人、マリとカイナもボロボロになりながらルビの側に走り寄る。
「ルビ姉ごめん、やっぱエリス強いよ……」
「ルビ姉さま……あいつらなんか変です」
「ルビ姉あいつらアタシらの常識通じないよ!」
「くっ…………なるほどね、エリス、なんで貴方に仲間がいるのか不思議だったけど、その子達みんな異世界の住人ね?」
一瞬歯がみしたルビは数時間前に起こった地震や空間の歪み、そして見た事の無いゴーレムや服装の凛一と竜輝からすぐに凛一達の異常の正体に気付いた。
「その通り、こいつらとはさっき知り合ったばかりよ」
「このまま戦うのは分が悪いかしら」
「逃がすと思っているの? 四天王全員の首、ここで取らせてもらうわ!」
エリスの顕現した翼が白く輝き彼女の本気は凛一にも一目で分かった。
「なあエリス、そんな何も殺さなくても」
「そんな事言ってたらこっちが殺されるでしょ! あいつらは魔族なのよ! あんたも変に誘惑されないで少しは抵抗しなさいよ! さっきの見てたんだからね! ていうかあんた魔族怖くないの!?」
無抵抗のままルビに抱かれた事に激昂するエリスに、だが凛一はさらに激昂して反論する。
「魔族が怖い!? バカ野郎! 魔族なんてむしろ人外萌えのプラス要素じゃねえか! あの尖った耳と綺麗な髪と目と肌がどれほどの魅力を持っているか分からねえのか!?」
「バカ!」
エリスの拳が顔にメリ込んだ。凛一は仰向けに倒れて痙攣する。
「あたしだってハーフエンジェルだし髪や目だって綺麗だしお肌だってスベスベなんだから、それに耳は尖ってないけど羽生えてるしス、スタイルだってアタシのほうがいいもん」
ちょっと頬を染めながらエリスは大きな胸を張って左手を腰に当てた。
「いや、お前とルビのスリーサイズは同じだけどルビのほうが足一センチ長いから身長の分ルビのほうがスタイルいいぞ」
「なんであたしのサイズ知ってるのよ!?」
目を吊り上げて握り拳を震わせるエリスの肩に手を置き、凛一はふっ、と笑った。
「オレの目検討は世界最高精度を誇るのさ」
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
オールスキャン:凛一は一目見れば例え服や鎧の上からでも女性の身長やスリーサイズや座高、腕や足の太さまであらゆるサイズを把握できるのだ。
「ちなみにルビさんは身長一七四センチ、スリーサイズは上から一〇〇、六四、九三のHカップだ」
「正解よ、やっぱり君は欲しいわね」
「そりゃあさっきのお誘いは死ぬほど魅力的ですけどそんな簡単にほいほい知らない人についてく訳には行かないんですよ! でもこれだけは言わせてください!」
涙を流しながら凛一は喉が裂けんばかりに声を張り上げ、自分の本意を告げる。
「オレはルビさんとお風呂に入ったりご飯食べたりしたい!! そして凄くヒザ枕をしてもらいたいし同じベッドで寝たい!! これだけは絶対に譲れません!!」
エリスがゴミ虫を見る目をするが凛一はキリッとした目でルビを見つめた。
「……エリス、悪いけどその子は連れ帰るわ、でもこの状態じゃ厳しいわね」
凛一の意思を聞いたルビは一呼吸置いて、ついに本性を現す事にした。
「全員、第二形態の披露を許可するわ」
四人の体が髪や目と同じ色の電光を帯びて髪や服が揺らめき、体内から莫大な魔力が膨れ上がる。
「まずい! みんな下がって!」
叫ぶエリスも全身に白銀の光を帯び、必殺のセラフブレードを両手で握り空間が張り詰めた。
竜輝とセイルはエリスの後ろに控えながらも四天王の動きに注意を払い――
「魔王様の魔力よ!!」
「「「ほんとだ!!」」」
四天王は急に左側を向くとそのまま全力で駆けだし木々の中に消えて行った。
「……あれ?」
「「「「まうおぉおおおおすぁあああむわぁああああああああぁぁぁぁ…… 」」」」
四人の奇声が遠ざかり、一迅の風が凛一たちを撫でた。
『逃げられちまったな』
「敵がいなければそこに戦いは成立しない、先を急ごう」
「どうしたエリス、肩がふるえているぞ?」
特に気にしない男三人と違い、エリスだけはぷるぷると体を震わせて、空に向かって声を張り上げた。
「逃げられたぁああああああああああ!」
うがー! とライオンのように吠えながらエリスは駄々っ子がごとく手足を振り回す。
セラフブレードが非常に危ない。
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